郵便局の局長になるための審査“半強制アンケート”に疑問の声が上がっている。
全国郵便局長会が、個人情報を聞き出す「防犯自己診断カード」には、資産に関する情報以外にもさまざまな項目があり、「ここまでするのか?」と物議となっている。

食費・携帯代・子どもの学校や学年まで

「ここまでするのかな?」と疑問の声を上げたのは、郵便局長になるための審査を受けた人。
審査の際に、家族、そして自分の資産状況を事細かく求められたという。

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郵便局長になるための審査を受けた人:
家族の資産を15年分提出しなきゃいけなかったので、ここまで家族のことまで、さらけ出さなきゃなのかな。

郵便局長になるための審査を受けた人:
電気代・水道代・ガス代・ガソリン代・食費・ローンとかも書きますし、携帯代、あと自由に使えるお小遣い。


郵便局長をめぐり、今物議となっているのが、“半強制アンケート”。

イット! が入手した郵便局長らが毎年提出を求められているアンケート用紙。
資産に関する情報だけでなく、家族構成や子供が通っている学校、配偶者が家庭内の問題などを書く欄まである。

はたして家族の情報をアンケートで提出するのは、あり?なし?。
追跡取材すると、意外な声も聞こえてきた。

資金横領についての抑止のため

全国郵便局長会の関係者:
署名することによって、その信ぴょう性を高めていくということ。


イット! の取材にこう話すのは、郵便局の局長から個人情報を聞き出す「防犯自己診断カード」を提出させてきた、全国郵便局長会の関係者だ。

全国郵便局長会は、郵便局長が所属する任意団体。
郵便事業を担う日本郵便とは別の組織だが、なぜ個人情報の収集の必要があるのだろうか。

全国郵便局長会の関係者:
局長の犯罪防止いうことで記入しているということ。資金横領についての抑止ということになった。

銀行業務なども担う郵便局では、これまで局員らの横領事件が繰り返され問題になった。
資産状況を確認することで、そうした犯罪を未然に防ぐ効果を狙っているという。

しかし、このアンケートには、資産状況以外にも、さまざまな項目がある。
子どもたちの名前や通っている学校・学年、さらには配偶者が、職場や家庭で不安に思っていることを記入する欄まであるのだ。

「あなたたちに教える必要なくない?」

詳細な個人情報を求められることに、街の人の反応は…。

20代男性:
家族に関わることも細かくっていうのは、ちょっと今の時代どうなのかな。

30代夫婦:
あなたたちに教える必要なくない?と思う。

30代男性:
独身だったり既婚だったり加味されて、出世とかの評価にされそうで嫌ですよね。

60代女性:
例えば職場が残業が多いとか、もう少し給料上げてくれとか。

さまざまな声が上がる個人情報収集のアンケート。
法的な問題はないのだろうか?専門家に話を聞いた。

橋下綜合法律事務所・松隈貴史弁護士:
(企業が実施すると)パワーハラスメントを防止している法律、そういったものに抵触する可能性は十分にある。
(局長会は)任意団体ということで、ちょっと考え方は変わってくる。

集めた情報が、日本郵便と共有されないかぎり、法令に抵触する可能性は低いという。

では、日本郵便と全国郵便局長会は情報共有をしていないのだろうか。

関係者からは、気になる発言もあった。

全国郵便局長会の関係者:
会社(日本郵便)ができない部分というものを、局長会が担っているという意味では二人三脚。

一方、日本郵便は、「社外の任意団体である『郵便局長会』が実施されている施策ということですので、その内容は弊社では把握しておりません。なお、こうした情報が弊社の人事評価などに影響を与えることはございません」と回答している。
(「イット!」10月13日放送より)