10月20日は「とう・はつ」の語呂合わせから「頭髪の日」。
日々ヘアケアをしているという人も多いだろうが、実は秋は「抜け毛が多くなる」季節だと聞いたことはないだろうか。
夏に強い紫外線を受けたり、エアコンの風にさらされて髪がダメージを受けている。そんな理由は思い浮かぶが、果たして本当に「秋は抜け毛の季節」なのだろうか。
もし事実なら、暑さがやわらぎ秋の訪れを感じ始めた今、するべきヘアケアは?秋にいち早く「健康な髪」を取り戻すためのケア方法について、株式会社アデランスにお話を聞いた。
秋の抜け毛対策には「運動」もカギ
――「秋は抜け毛の季節」というのは本当?
秋は年間を通じて最も抜け毛が増える季節とされています。その理由は夏の強い紫外線を含んだ日差しや、冷房での冷やしすぎなどで体に受けたダメージが蓄積し、抜け毛となって秋に現れるためと考えられています。また、人が四足歩行だった時代の名残で、体毛の抜け替わりの時期が秋だったからという説もあります。

――そもそも「健康な髪」とはどんな髪を指すの?
一般的に健康と言われる髪は、毛髪内部の成分と水分が十分に満ちて空洞が少なく、髪表面のキューティクルに欠損がなく、均等に並び閉じている状態を指します。この条件を満たしている髪は、以下のような髪となります。
・髪の毛1本1本が太い
・弾力がある
・つやがある
・切れ毛や枝毛になりにくい
・なめらかな手触りで指通りがいい
――ではそんな「健康な髪」を秋が来る前に取り戻したい…。どんなケアをするのがいいの?
抜け毛予防には運動や正しいシャンプーをすることがおすすめです。
運動をすると体内の血流が促進され、体が温まります。また、頭皮への十分な栄養補給や内臓器官の働きの活発化に繋がり、抜け毛や薄毛の予防にも効果が期待できます。ストレス解消にもなるため、ウォーキングやランニングなど有酸素運動は年齢を問わず積極的に取り入れるようにしましょう。
シャンプーはやり方によって抜け毛・薄毛を促進してしまうこともあれば、予防にも繋がります。シャンプーを選ぶ際には成分をチェックし、洗浄力が強すぎず、適度な保湿効果のある頭皮ケアタイプのものを選ぶのがポイントです。
育毛を意識して作られた頭皮ケアタイプのシャンプーは、頭皮を健やかに保つ効果も期待されます。しかし、皮脂を気にして過剰に使用するといくら頭皮ケアとはいえ、むしろ薄毛を進めてしまう可能性があるため、使用量と使用方法を守ることが重要です。また、洗うのと同様に十分にすすぐことも大切です。

――「洗浄力が強すぎず、適度な保湿効果のある」シャンプーを選びたい。どこに注目すればいいの?
(1)商品の訴求点(特徴)で選ぶ。
多くの場合は容器裏面に記されており、それが参考になることがあります。
・全体的なタイプ別…「スカルプケアタイプ」と記されているものは、頭皮ケアにも主眼を置いたものと推測できます。
・頭皮タイプ別…容器に「脂性肌向け」「オイリータイプ」や、「普通肌・乾燥肌向け」などと表示されているものがあります。
(2)成分で選ぶ。
シャンプー類に配合される成分は非常に多岐にわたり、一般の方がすべてをチェックするのは困難と言えます。とはいえ、ある程度見分けることも不可能ではありません。
・洗浄成分について…配合成分の「水」の直下近くに「ココイル〇〇」や「ラウロイル〇〇」と、表示されているもの。※低刺激で洗浄力の強すぎないとされる、アミノ酸系シャンプーの場合です。また、「ラウレス〇〇」は別物です。
・保湿成分について…有名な「ヒアルロン酸」や「コラーゲン」、または各種植物の名称が表示されているもの。※絶対ではありませんが、保湿効果に配慮したものと推測できます。
基本は“夜シャン”を推奨
しっかりとシャンプーすることが大事だそうだが、洗浄力の強すぎるものを選んだり、過剰な量を使うのはNGだそう。では、いわゆる“朝シャン”など、シャンプーするタイミングによってケアの質は変わってくるのだろうか。秋に限らず、日常生活のヘアケアについても聞いてみた。
――“朝シャン”は健康な髪を作るのに良い?悪い?
“朝シャン”のメリットは温かいお湯を頭皮に当てることで血行が良くなり、寝起きの体が覚醒することです。また、一度シャンプーをすると手際よく寝癖を直すこともできます。
しかし、身支度などで忙しい朝は洗い方が雑になってしまい、洗い残しやすすぎ残しが出る可能性もあります。市販のシャンプーにはさまざまな添加物が配合されているものがあり、十分にすすがないと髪や頭皮にダメージを与え、ニオイなどの髪・頭皮のトラブルを引き起こす可能性があります。
しっかりと髪を乾かさず湿り気のある状態で外出してしまうと、雑菌が発生して頭皮のニオイといったトラブルの元にも。さらに、濡れた髪は傷つきやすい状態でもあり、摩擦等でダメージヘアの原因にもなります。
朝シャンを行う際はシャンプーやヘアセットに十分な時間を費やせるよう、余裕を持って起きるようにしましょう。
とはいえ、できればその日の汚れはその日のうちに落としたいもの。余裕をもってシャンプーやケアのできる夜シャンが、基本的にはおすすめです。

――他にはどんなケアをすればいい?
シャンプー後はなるべく早く頭皮と髪を乾かし、仕上げにはキューティクルを閉じるためにドライヤーで冷風を当て、引き締めることをおすすめします。
頭皮は体全体で特に汗をかきやすく、皮脂の分泌が盛んですので、汗で湿度が高くなっている枕や布団の中では雑菌も繁殖しやすくなります。同じ枕、枕カバーを使い続けると、不衛生になり、雑菌が活発化し、頭皮トラブル・ニオイ・かゆみの要因になりかねません。枕カバーはこまめな洗濯をし、枕本体は天日干しなどで清潔を維持しましょう。
――「実はこんなことをしてしまうと髪に悪い」という、ついやってしまいがちなケア方法はどんなものがある?
市販の「速乾タオル」は髪の水分を取り除くのには効果的ですが、頭部に巻いておくだけでは頭皮の水分を取り除くのは困難です。頭皮が湿った状態が長時間続くのは、雑菌の繁殖やにおいの原因になるなどが考えられるため、NGと考えています。
他にも、トリートメントやコンディショナーの効果が少なくなるのを気にして、十分なすすぎがされていない、ということがあります。(たいていの商品はしっかりすすいでちょうどよくなるように作られている)コンディショナーやトリートメントが残りすぎると、髪の軽さが失われて、かえってべたっとした印象になることもあります。

――秋に限らず、普段からやっておきたい髪にプラスになる習慣は?
髪の健康状態を保つには、「睡眠不足を避ける」「髪に必要な栄養素が摂れる食べ物を選ぶ」「運動不足を解消する」「お酒を飲み過ぎない」「頭皮ケアを目的とした自分に合ったシャンプーを使う」などが挙げられます。
髪も体の一部ですから、体の健康がなければ髪の健康も得難いものと言えます。その他には寝ている間の髪を保護するため、アウトバストリートメント(編集部注・洗い流さないタイプのトリートメントのこと)や頭皮美容液を使用することもおすすめしております。

普段の生活で実践できそうなヘアケア方法はたくさんあるようだが、体の健康と髪の健康は密接なようだ。
夏の間強い日差しで髪にダメージを与えてしまった人、あるいは厳しい暑さで運動不足になっていた…という人は、まずは手軽に始められる運動を生活に取り入れてみてはいかがだろうか。