自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家に寄せられたのは、こんなエピソード。
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「おもちゃを箱から出したり戻したり…を繰り返してずっと遊んでいる。それって楽しいの?」
おもちゃ自体で遊ぶのではなく、おもちゃ箱から出しては元に戻し、また出しては戻し…という動きを延々繰り返しているという、1歳3カ月の男の子。
SNSでは他にも、ティッシュを箱から全部出した後、「もう一度箱に戻して!」と持ってくる…という話もあったが…“謎の反復運動”を繰り返す子どもゴコロって、どうして?
育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。
――おもちゃを出しては戻し…これって何を楽しんでる?
何を楽しんでいるのかという視点で言うと、やはりそれを繰り返すたびに得られる快感と言えます。たとえば、
・ティッシュを1枚引っ張るとシュッと鳴る音。しかも、次の1枚の半分が出てくる快感
・色鉛筆を(はまっている枠から)出すときに外す手ごたえ、それを並べたときの収まり感
など。
子供の成長は坂を上るような感じよりも、階段を上る感じに近いものがあります。どんなことでもはじめから簡単にできるわけではないので(ティッシュを出すのでも)、はじめは失敗もし、何度も繰り返すことでその行動をマスターしていきます。いったんマスターすると、一時期それが面白くなり、何度も繰り返す。それに飽きてくると、次の「わくわく」を探し出すのです。
その過程を子どもの目線から見たらこうなります。
「これなんだろう?」「意外と難しいな」「もう1回」「よしもう1回」「あ、けっこうできるようになってきたぞ」「面白い~~(繰り返し期間中)」「なんだか飽きてきた、つまらないな」「や~めた」。
はじめは難しいと感じていたこと(ティッシュ、色鉛筆)も、繰り返すことでマスターし、それで次の階段へと進むのですね。
子供が繰り返している動作は、大人からすると「どうして?」と思うことかもしれませんが、赤ちゃんにとってはすべてが新たな発見です。大人はそれらの行動をすでに過去にマスターしてしまっているので、面白みを感じないかもしれませんが、小さな発見を楽しめる心は、逆に私たち大人が学ばせてもらうべき部分なのかもしれません。
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――「反復運動」に惹かれる子どもゴコロはどんなもの?
この時期は記憶力も発達してきているので、こうやったらこうなるという予測や物事の因果関係が分かってきつつある時期です。子どもの心理発達において、物事の展開を予測できるというのは、大きな安心材料で、それが子どもの興味を引きます。展開や結果が分かっていることで、安心して取り組めるのですね。
大人もそうですが、成功することが分かっていることは腰が上がりやすいものです。ここでいう“成功”は、大成功とか大きな達成ばかりではありません。ちょっとした喜び、分かっている快感、それも繰り返しを呼ぶものです(大人の無限プチプチのようなもの)。さらには、そこで得られる嬉しい快感が「よしまた1回」という思いを呼ぶのでしょう。
「反復運動」を繰り返す子どもゴコロの正体は、ちいさな「成功体験」の繰り返しに夢中になっているから。大人からすれば不思議に見える行動も、子どもたちにとっては新鮮な喜びたっぷりの遊びなのだ。
2歳までは「遊びの手前」に興味津々?
しかし、おもちゃ箱からおもちゃを取り出し…というのならいいかもしれないが、ちょっと目を離した隙にティッシュがからっぽ!というのは、パパママにとっては悩みの種かもしれない。
この「反復運動」、一体いつまで続きそう?
――この遊びにはいつまで夢中?
2歳くらいまでによく見られます。一般的に、子供は友達遊びが大好きというイメージがあるかもしれませんが、実際は2歳くらいまでは、自分と遊んでくれる大人と遊ぶほかは、1人で遊んだり、同年代の子と一緒にいても平行遊びをしていることが多いものです。そういう中で、同じことを繰り返したり、1つのことに没頭したりします。年齢が上がると、遊び方もバラエティーに富んできて、繰り返し遊びは減ってくるものです。
なお、この時期のアドバイスとして、親が遊びを決めてしまわないのは大事なことと言えます。親からすると、「公園に連れて行ってあげよう」「おままごとで遊んであげよう」と、俗にいう“遊び”で子供を楽しませたいと思うものですが、小さい子は、その手前の段階で、何かに興味を持って、そこに気持ちがのめりこんでしまうことがよくあります。
たとえば、ママは公園に行こうと準備しているのに、玄関でバッグの中身を出しては入れて、靴の中に足を入れては、出して、あとはおままごと道具をおままごとに使うのではなく、入っている引き出しを引いたり閉めたりを繰り返したり……。こういうときは、「今はこれで遊びたいんだ」と親が思っている遊びをいったん横に置き、それ自体を遊びにしてしまうとその子自身の満足度は上がるものです。もちろん、毎日忙しく過ごしていると思うので、いつもとはいきませんが、ちょっと余裕があるときには、それ自体を遊び化してしまうのはとてもおすすめです。
「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。
・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?
などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?
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※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。
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(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)