パリ五輪予選/ワールドカップバレーを2位で終え、パリ五輪出場権を勝ち取った男子日本代表。

最終戦のアメリカ戦が終了した10月8日(日)の夜、彼らがフジテレビのスポーツニュース番組「S-PARK」に生出演し、大会を振り返った。
“安泰のはず“だったパリ五輪予選
今年7月、世界大会のネーションズリーグで初の銅メダルに輝いた男子代表。
世界ランキングはワールドカップを前に過去最高の5位まで上昇し(※大会期間中に4位に上昇)世間の注目を集めた。
このワールドカップでのパリ五輪予選突破は“安泰”と思われていた。

初戦は、世界ランキング28位のフィンランド。
セットカウント2-0のリードから、フルセットまでもつれ込んだ末に何とか勝利した。
そして翌日のエジプト戦(同19位)。
2-0とリードしながら3セット目以降を立て続けに奪われて、まさかの逆転負けを喫してしまった。

8チームが総当たりで戦い、上位2チームにパリ五輪出場権が与えられる今回のワールドカップ。まだ2戦が終了したばかりとはいえ、日本はエジプト戦の敗戦で1勝1敗。「上位」とは言えない4位と、想定外の順位になってしまった。

敗戦の夜。
日本代表は全体ミーティングの後に、選手だけのミーティングを行った。ここには日本バレーボール協会の広報用カメラですら入ることが許されなかった。

『もう負けられない』
そんな状況で迎えた第3戦。
日本はチュニジアを相手に今大会初の3-0でストレート勝ち。

その後も“生まれ変わった”かのように、トルコ、セルビア、スロベニアと3-0で勝利。

最終日のアメリカ戦は2-3で逆転負けを喫したものの、最終的に5勝2敗で2位に食い込み、パリへの切符をつかみ取った。
“撮影禁止”のミーティングでは何が
まさに“谷あり山あり”となったパリ五輪予選。やはり気になるのは、日本が負けたエジプト戦の「前」と「後」だ。
まずは、あの夜の選手だけのミーティングで、彼らは何を話したのか。

石川祐希:
シンプルにやろう、と。西田選手から「自分たちの悪いところに目が行き過ぎているのでは」という意見があって、良いところに意識を向けて、良い雰囲気でやっていこう、と話しました。

西田有志:
やることは明確でしたし、とにかく、勝つことだけを…ですね。

小野寺太志:
そのおかげで、目の前の1点1点に集中できました。
さらに、この夜に起こった“もう1つの出来事”が、彼らを勇気づけたという。
タイミングが、すごく偶然というか…
エジプト戦に負け、宿舎に戻った日本代表。その時、テレビで流れていたのが、バレーボール元日本代表・藤井直伸さんの特集だった。

東京五輪でセッターとして活躍した藤井さん。男子日本代表の29年ぶりのオリンピックベスト8入りに大きく貢献したが、そのわずか4カ月後に胃がんが発覚。パリ五輪出場を目指して闘病生活を送っていたが、今年3月に31歳の若さで逝去した。
日本代表やVリーグでも同じチームでプレーし、藤井さんを“師匠”と仰いでいた髙橋健太郎が語る。

髙橋健太郎:
テレビをつけたら、ちょうど藤井さんの特集をやっていたので、関田さんに「見てくれ」と伝えて。そのあと、散歩しながら関田さんといろいろ話しました。
髙橋健太郎が連絡をしたのは、藤井さんと同じポジション、セッターを務める関田誠大。

ワールドカップ初戦のフィンランド戦でスターティングメンバーに選ばれながらも、エジプト戦では思うようなトスを上げられず、途中交代となり、大粒の悔し涙を流した。

関田誠大:
藤井さんは良きライバルであり、切磋琢磨してきた仲間でした。
エジプト戦の後、宿舎に戻って、1人でいるのがしんどい時に、(髙橋)健太郎選手から「テレビで藤井さんの特集やっている」と教えてもらって。それを見て、なんとか持ち堪えました。
やっぱり、あのタイミングが“すごく偶然”というか…。
たまたまなのかもしれないですけど、藤井さんがそばにいてくれて、声をかけてくれたのかなと思って、立ち直ることができました。

敗戦から2日後の第3戦チュニジア戦。
関田はスターティングメンバーで出場。トスも冴え渡り、日本は4選手が2桁得点をマークし、3-0で圧勝した。

コートに立つことができなかった藤井さんへの思いも背負って、日本バレーは見事な復調を遂げた。試合後のインタビューで関田はこう答えている。

関田誠大:
藤井さんだったらどう戦うのかな…と考えて。もうクヨクヨしている場合じゃないと思いました。ふっきれましたね。僕たちのリズムをやっと取り戻せました。
世界の強豪たちを相手に、大逆転でのパリチケット獲得。キャプテンの石川祐希がワールドカップを振り返る。

石川祐希:
崖っぷちの状況から、このような結果を取ることができましたし、エジプト戦で負けた後の試合から(4試合)3-0で勝ちきれたのは、日本チームが大きく成長した瞬間だったと思います。
(パリ五輪に向けて)日本はまだまだ上がると思いますし、もっと強くなると確信しています。

第6戦のスロベニア戦。
この試合に3-0のストレートで勝ち、パリ五輪出場権が確定。コートに集まって喜びを爆発させた日本代表。
彼らがその手に握りしめていたのは、藤井さんの代表ユニフォームだった。

来年の夏に迫ったパリ五輪でのメダル獲得へ。
藤井さんとともに「心はひとつ」。
日本代表はこれからも戦っていく。
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10月14日(土)24時35分から
10月15日(日)23時15分から
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