「千葉県内で一番おいしい担々麺を出す店」と評する人もいるという、千葉・我孫子市内にある人気のラーメン店「豆でっぽう」。

行列もできるこの店をホールスタッフとして支えるのが、パート歴5年の竹原久美子さんだ。
「1つ橋を渡ると100円時給アップ」
竹原さんは、わざわざ隣の茨城・取手市からアルバイトしているこの店に通っている。

毎朝、JR常磐線・藤代駅から電車に乗り、利根川を越えて天王寺台駅まで働きに来る理由は、時給にあった。

「豆でっぽう」パート従業員・竹原久美子さん:
地元の茨城県の時給だと、今賃金が950円なんですけど、ちょっと1つ橋を渡ると100円時給がアップするので。
現在の竹原さんの時給は、1050円。一方、地元・茨城のコンビニエンスストアで以前働いていた時は、時給900円に満たなかったという。

「豆でっぽう」パート従業員・竹原久美子さん:
絶対に1000円の壁って(越えられ)ないなと思っていたんですけど、(ここでは)夢のまた夢の1050円だったので、本当に跳び上がって、うれしくなっちゃって。
実際店には、茨城県の在住者からの問い合わせが多くあるという。

「豆でっぽう」店主・梶野学さん:
── 時給を伝えた時は?
やっぱりちょっと声が明るくなるような感じはありますよね。時給の高さというのは大きいかと思いますね。
パート・アルバイトの募集動向が変わる可能性
県をまたいでの“賃金の格差”問題。

この10月、各都道府県ごとに最低賃金が改定され、関東の1都6県では、それぞれ40円ほどの時給アップとなった。

一方で、時給の高さは、埼玉・千葉が最低賃金の1000円超えを果たしたのに対し、隣接する茨城は900円台半ば。
こうした状況に、求人情報会社の担当者は、パート・アルバイトの募集動向が変わる可能性があると指摘する。

株式会社アイデム 東日本事業本部 シニアマネージャー・羽沢洋樹さん:
埼玉・千葉の県北の方は、茨城と隣接しているので、そちらからの流入が多少なりともあるっていうケースはあるかもしれないです。
茨城県知事「地域経済として大変問題」
隣り合う県との賃金格差が浮き彫りとなった茨城県。そのトップも不満を漏らしている。
10月に改定された最低賃金が1000円の壁を超えなかった茨城県の大井川和彦知事は、深刻に受け止めている。

茨城・大井川和彦知事:
他の県との比較からしても不当に低いと。非常にわれわれとして地域経済として大変問題だと。
今後、いっそうの働きかけをしていく考えを明らかにした。
現在、茨城から千葉への“越境パート勤務”をしている竹原さんも、茨城の賃金上昇を望んでいる。

「豆でっぽう」パート従業員・竹原久美子さん:
1000円の時給を出していただければ、私も(茨城県内での勤務を)考えるかな。頑張っていただきたいな。
(「イット!」10月6日放送より)