「千葉県内で一番おいしい担々麺を出す店」と評する人もいるという、千葉・我孫子市内にある人気のラーメン店「豆でっぽう」。

千葉県のラーメン店で働く茨城県在住の竹原さんはパート歴5年だ
千葉県のラーメン店で働く茨城県在住の竹原さんはパート歴5年だ
この記事の画像(11枚)

行列もできるこの店をホールスタッフとして支えるのが、パート歴5年の竹原久美子さんだ。

「1つ橋を渡ると100円時給アップ」

竹原さんは、わざわざ隣の茨城・取手市からアルバイトしているこの店に通っている。 

毎朝電車に乗り利根川を越えて出勤する竹原さん
毎朝電車に乗り利根川を越えて出勤する竹原さん

毎朝、JR常磐線・藤代駅から電車に乗り、利根川を越えて天王寺台駅まで働きに来る理由は、時給にあった。

利根川越えて働きに来る理由は「時給」と語る竹原さん
利根川越えて働きに来る理由は「時給」と語る竹原さん

「豆でっぽう」パート従業員・竹原久美子さん:
地元の茨城県の時給だと、今賃金が950円なんですけど、ちょっと1つ橋を渡ると100円時給がアップするので。

現在の竹原さんの時給は、1050円。一方、地元・茨城のコンビニエンスストアで以前働いていた時は、時給900円に満たなかったという。

「夢のまた夢の1050円だったんでうれしかった」と話す竹原さん
「夢のまた夢の1050円だったんでうれしかった」と話す竹原さん

「豆でっぽう」パート従業員・竹原久美子さん:
絶対に1000円の壁って(越えられ)ないなと思っていたんですけど、(ここでは)夢のまた夢の1050円だったので、本当に跳び上がって、うれしくなっちゃって。

実際店には、茨城県の在住者からの問い合わせが多くあるという。

「時給の高さは大きい」と話す「豆でっぽう」店主・梶野学さん
「時給の高さは大きい」と話す「豆でっぽう」店主・梶野学さん

「豆でっぽう」店主・梶野学さん:
── 時給を伝えた時は?

やっぱりちょっと声が明るくなるような感じはありますよね。時給の高さというのは大きいかと思いますね。

パート・アルバイトの募集動向が変わる可能性

県をまたいでの“賃金の格差”問題。

10月に各都道府県ごとに最低賃金が改定された
10月に各都道府県ごとに最低賃金が改定された

この10月、各都道府県ごとに最低賃金が改定され、関東の1都6県では、それぞれ40円ほどの時給アップとなった。

埼玉・千葉が最低賃金の1000円超えも、隣接する茨城は900円台半ば。
埼玉・千葉が最低賃金の1000円超えも、隣接する茨城は900円台半ば。

一方で、時給の高さは、埼玉・千葉が最低賃金の1000円超えを果たしたのに対し、隣接する茨城は900円台半ば。

こうした状況に、求人情報会社の担当者は、パート・アルバイトの募集動向が変わる可能性があると指摘する。

株式会社アイデム 東日本事業本部 シニアマネージャー・羽沢洋樹さん:
埼玉・千葉の県北の方は、茨城と隣接しているので、そちらからの流入が多少なりともあるっていうケースはあるかもしれないです。

茨城県知事「地域経済として大変問題」

隣り合う県との賃金格差が浮き彫りとなった茨城県。そのトップも不満を漏らしている。

10月に改定された最低賃金が1000円の壁を超えなかった茨城県の大井川和彦知事は、深刻に受け止めている。

地域経済として大変問題と述べる大井川知事
地域経済として大変問題と述べる大井川知事

茨城・大井川和彦知事:
他の県との比較からしても不当に低いと。非常にわれわれとして地域経済として大変問題だと。

今後、いっそうの働きかけをしていく考えを明らかにした。

現在、茨城から千葉への“越境パート勤務”をしている竹原さんも、茨城の賃金上昇を望んでいる。

1000円の時給が出れば住んでいる茨城県内での勤務を考えると話す竹原さん
1000円の時給が出れば住んでいる茨城県内での勤務を考えると話す竹原さん

「豆でっぽう」パート従業員・竹原久美子さん:
1000円の時給を出していただければ、私も(茨城県内での勤務を)考えるかな。頑張っていただきたいな。
(「イット!」10月6日放送より)