広島県大竹市の大規模な断水は70年以上たっていた水道管の破損が原因だった。全国的に老朽化した水道管の更新が進まず、ライフラインをどう維持するかが問題になっている。

市の水道管更新基準は国より10年長い50年

1日、広島県大竹市の75%に当たる約9000世帯が断水し、市民生活に大きな影響が出た。

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原因は老朽化によって、約1メートルのひびが入った水道管だった。

高橋徹記者:
断水の原因となった水道管の破片です。本来は黒色だったこの水道管、設置されて70年以上も経っています

大竹市は水道管を更新する基準を設置されてから50年と決めているが、いったいなぜ、基準を超えた水道管が使われていたのか。

Q:老朽化に気づけなかった?
大竹市上下水道局・三浦暁雄課長:
設置年度も不明確なうえ、水路の中の底に埋まっていたりするので、気づきにくい

大竹市では老朽化した水道管の修理、交換に手が回っていないのが実態だ。

三浦課長:
全ての老朽化した水道管を更新するのは難しい。赤水が出やすい、漏水しやすい管を優先的に更新している。技術職員の不足が更新できない理由の一つ。更新が進んでいかないのが頭の痛いところ

大竹市の47%の水道管が老朽化

厚生労働省は水道管を交換する目安の「法定耐用年数」を設置されて40年としている。2021年に大竹市で設置されてから法定耐用年数の40年を超え、老朽化した水道管の割合は広島県内の全ての市の中で最も高い47.2%。全国平均が約20%なので、突出している。

市は40年を超えた老朽管を毎年、約2キロ更新することを目標にしているが、2022年度は約0.8キロしか達成できていない。

取材した高橋記者によると、広島県で40年を超えた水道管の割合は2021年、県内全ての市で25.9%と、7年前と比べて、6.9ポイント悪化している。

その理由は水道管を交換する技術職員の人材不足、そして、人口減少に伴う財源不足だという。

その人口減で全国の水道使用量は2000年をピークに減少し続けており、市町村で運営されている水道事業の収支は悪化し、約3割の自治体が赤字だという。最も基本的なライフラインの維持が難しくなっているのが現状で、県単位での広域水道運営や料金値上げで解決の道をさぐる自治体も出ている。

(テレビ新広島)

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