山形・新庄市の伝統工芸品・新庄亀綾織で、フランス由来の蚕による県産生糸で織った反物が完成した。これまでの中国産生糸とは違う“輝き”を放っている。
織りあがった布が白いことに驚き
新庄市の指定文化財・エコロジーガーデンで、手織りの絹織物「新庄亀綾織」を手がける伝承協会が認知度の向上を目指し、市民公開講座を開催した。

その会場の入り口に飾られていたのが、新たに誕生した最上産生糸で織った新庄亀綾織だ。
新庄亀綾織伝承協会の三宅由利子さんは「いろんな人に見てもらえているみたいで、すごくドキドキしている」と話す。

三宅さんは、セヴェンヌという最上産の生糸を使った亀綾織を2023年5月から織り始め、9月15日に一反を織り上げた。普段は中国産の糸を使って織っているが、少し勝手が違ったようだ。

新庄亀綾織伝承協会・三宅由利子さん:
織りあがった布が白いことにまずびっくりして、織る時に元の形に戻ろうとして、しっかりしている糸だと思った
セヴェンヌは「世界一白い美しい糸」
手織りの絹織物・新庄亀綾織が誕生したのは江戸時代。戊辰戦争の影響で途絶え、その後何度も“復活と閉鎖”を繰り返してきた。

亀綾織の再興に手を差し伸べたのが、京都西陣織の製造と卸の会社を経営する細尾真生さんだ。
京都西陣織製造卸会社経営・細尾真生さん:
世界一白い美しい糸になって、美しい織物になると言われているフランス原産の糸。それがセヴェンヌ

細尾さんが注目したのは、細くて白いフランス由来の「セヴェンヌ」という糸。蚕を探し出して、4年前に最上町での養蚕を成功させた。亀綾織を支援する最大の理解者だ。

京都西陣織製造卸会社経営・細尾真生さん:
このセヴェンヌ、特に山形で養蚕したセヴェンヌを使って、新庄亀綾織をぜひ織ってほしいと前から希望していたし、新庄亀綾織伝承協会も希望していたので、それが今回実現した
「新庄亀綾織」新たな一歩
セヴェンヌの生糸で織り上げた新しい新庄亀綾織を見た人は「素晴らしい。感触がまるっきり違いますね」「この新庄にある伝統をこれからも多くの人に知ってもらい、次の世代につなげていければいい」と感想を語った。

セヴェンヌの糸を使った新庄亀綾織は、10月中にもう一反織り上がる予定。伝承協会は、今後も展示会などを通して、新庄亀綾織の素晴らしさや可能性を伝えていくことにしている。
(さくらんぼテレビ)