世界遺産・厳島神社を象徴する大鳥居。その周辺で、水上バイクの走行マナーが問題になっている。厳島神社の情報カメラは、大鳥居の真下を水上バイクが高速で通過する様子をとらえていた。

白い波しぶきを上げ、大鳥居を一気に通過

26日午後6時過ぎに撮影された広島県の宮島にある厳島神社。夕暮れ時の海に浮かぶ大鳥居のそばに、1台の水上バイクがゆっくりと近づいてきた。バイクには2人が乗っていて、目の前の大鳥居を見物しているように見える。周囲では観光船が周回し、さらにマリンスポーツのサップを楽しむ人たちの姿もあった。

大鳥居を一気に駆け抜けた水上バイク
大鳥居を一気に駆け抜けた水上バイク
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そして数分後、周りから船や人が消えると、先ほどの水上バイクが現れ、大鳥居の真下をくぐり抜けたのだ。さらに、水上バイクはぐるりとUターン。今度はさらにスピードを上げ、鳥居を一気に通過し、止まることなく神社の社殿の方まで駆け抜けていった。水上バイクの後ろには白い波しぶきが上がり、かなりのスピードが出ているように見える。

かなりのスピードが出ているように見える
かなりのスピードが出ているように見える

この映像を観光客に見せると、「(大鳥居をくぐることは)畏れ多い。自分はようせんけどね、できないですね」と苦笑い。外国人観光客からも「これは危険だ」と驚きの声があがった。

映像を確認した地元観光協会の上野隆一郎専務理事も、「これはひどいですね。万が一、大鳥居にぶつかったりしたらね……。やっと修理が終わったばかりで、本当にマナーが悪いですね」と苦言を呈した。

“水上バイク乗り入れ”取り締まる法令ない

大鳥居は、2022年12月に70年ぶりの修復を終えたばかりだ。5月のG7広島サミットでは、各国首脳らが記念撮影に臨むなど、世界遺産・厳島神社のシンボルとなっている。

その鳥居に近づく水上バイクをめぐっては、以前からマナー違反への注意喚起が行われてきた。

呼びかけられる走行マナー
呼びかけられる走行マナー

宮島周辺では、大鳥居の下を含め、水上バイクの乗り入れは禁止されておらず、人への危害が及ぶ可能性がなければ未然に取り締まる法令はないのが現状だ。一方で、大鳥居周辺での徐行や社殿の近くは進入禁止などの走行マナーが呼びかけられてきた。

水上バイクに乗って45年という地元の専門業者も、疑問を投げかけている。映像を見たジェットスキープロショップ広島の木本春夫代表は「時速35、36kmかな、40kmは出てない。いやこれね、見た感じ、いい感じ全然しないね。やっぱりこれ神の島だから、イメージ的にもよくないわな」と厳しい表情を見せた。

進入禁止区域近くまで進む水上バイク
進入禁止区域近くまで進む水上バイク

映像を見ると、スピードを上げて鳥居をくぐった水上バイクは、勢い余って進入禁止とされる区域近くまで進んでしまっていた。

地元では、2023年に入り大鳥居をくぐる水上バイクが増えたとの声が聞かれる。地元のツアーガイドは「12月に大鳥居が完成したことによって、ことしに入って毎週毎週水上バイクが、どんどん厳島神社周辺に来ているので、今後トラブルが増えるんじゃないかと予想できます」と話す。

宮島観光協会は、水上バイクの速度を落とし、参拝目的以外の進入はしないよう呼びかけている。
(「イット!」9月27日放送より)

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