日本三景、世界遺産「厳島神社」で知られる宮島。G7広島サミット効果も相まって多くの観光客が訪れる中、10月1日から「宮島訪問税」が必要になる。本土側からのフェリー運賃に税額が上乗せされることに伴い、徴収をスムーズにする自動改札機が導入された。

ICカードも利用できる「自動改札」へ

宮島と本土を結ぶ宮島航路。就航する宮島松大汽船とJR西日本宮島フェリーの2社がそろって、9月13日、広島・廿日市市の宮島口旅客ターミナルにQRコードの読み取りができる自動改札機を設置した。

廿日市市の宮島口旅客ターミナル
廿日市市の宮島口旅客ターミナル
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五十川裕明 記者:
今までは、乗船券を係員に手渡していたのですが、13日からはこのQRコードを自動改札にかざして乗船することができます

2022年末に大鳥居の大規模改修を終え、国内外の観光客でにぎわう宮島。自動改札を利用した人々に話を聞いた。

大阪から:
スムーズでした

南アフリカから:
一般的に日本の自動ゲートはうまく機能している。私たちは日本の旅行に満足しているよ

仕事で宮島に通う人:
便利がいいんじゃない?係員もたくさんいらないしね

「宮島訪問税」は観光客の受け入れ整備などを目的に廿日市市が10月1日から導入する新しい地方税で、本土側からのフェリー運賃に自動的に1人100円が上乗せされる。

自動改札機は、税の徴収開始で支払いの仕組みが変わるのを前に稼働が始まり、交通系ICカードも自動で利用できるようになった。

宮島松大汽船・池田智広 総務部長:
宮島訪問税をきっかけに新たなシステムを導入しました。自動改札によってICカードでスムーズに乗船できるようになったので、ぜひ観光客にも来てほしいと思います

「年払い」は年額500円でフリーパス

「1回の訪問につき1人100円」の宮島訪問税だが、年額500円を支払って証明書を発行すればフリーパスのように何度も訪問できる「年払い」制度もある。

廿日市市役所の「年払い」受け付け窓口
廿日市市役所の「年払い」受け付け窓口

9月から廿日市市役所と2つの支所、それに市の公式LINEで事前申請を受け付けている。12日時点で地元を中心に937件の手続きを行ったという。

「年払いの証明書」があれば乗船時に税が上乗せされないが、そのためには有人改札を通るか券売機で税額を差し引いた乗船券を購入しなければならない。

五十川裕明 記者:
年払いの手続きをして交通系ICカードで乗船する場合、10月1日以降、自動改札機は通れません。有人改札を通り、係員に「証明書とICカードを持っています」と声をかけます

係員:
こちらに証明書をかざしてください

証明書のQRコードをかざした後、交通系ICカードをタッチすることで税がかからない仕組みになっている。

また券売機で乗船券を買う場合は、支払う前に証明書のQRコードをかざすと税を引いた額の画面に切り替わる。乗車券を購入すれば、自動改札機を通って乗船できる。
島民や島への通勤・通学(月48時間以上)、修学旅行生、未就学児などは課税されないことになっていて、自動改札機の導入で「課税する人」と「そうでない人」の対応を円滑に行うねらいもある。

廿日市市 宮島企画調整課・向井俊二 課長:
課税対象外の人はどうしても有人改札を通ってもらうようになります。ひと手間かかるところもあるので、これからもスムーズな乗船に向けて準備を進めていきたいと考えています

今後、紅葉の見頃に向けてハイシーズンを迎える宮島。宮島訪問税の創設をきっかけに旅客ターミナルの改札がより便利になり、持続可能な観光地域づくりの事例となるよう期待がかかる。

(テレビ新広島)

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