「全国どこから移住しても1世帯につき500万円給付」「子育て三つ星タウン3つの完全無料化」などの施策で、宮崎・都城市では、2023年4月からのわずか4カ月で2022年度1年間の移住者の数を上回った。少子高齢化が進む中、人口を維持し増加まで持っていけるのか。10年後を見据えた取り組みを取材した。
移住者がわずか4カ月で前年度超
夫婦ともに埼玉県で生まれ育った三浦さん家族3人は、2022年7月に埼玉・東松山市から都城市に移住してきた。
この記事の画像(12枚)埼玉県から移住・三浦拓也さん:
妻の親戚が都城に住んでいたのがきっかけだったんですけど、それに加えて子育て支援だったり、そういったものが充実していたので、それがきっかけで移住してきました
移住を促す給付金と子育てにかかる費用の無料化。社会増(転入増)と自然増(出生増)。人口を増やす土台をつくろうという2つの政策が移住者の増加につながっている。
2023年4月から7月までに、439人が市役所の窓口を通じて移住してきた。過去最多だった2022年度1年間の435人を、2023年度はわずか4カ月で上回った。
都城市の池田市長は「10年後に人口増加へということで、今政策を打っているんですけど、思っている以上に反応していただいて、実際に移住の方もかなり増えているということは大きいと思います」と手ごたえを口にする。
世帯での移住で給付金200万円
支援策の一つは、100万円以上の現金が給付される「移住応援給付金」だ。大胆ともいえるこの給付金は、三股町と鹿児島・曽於市、志布志市を除けば全国どこから移住しても受けられる。
給付を受けるには事前に都城市への登録が必要で、給付額は単身者が100万円、世帯での移住は200万円、さらに中山間地域への移住で100万円が加算される。子どもも一人あたり100万円ずつ加算される手厚い支援だ。
都城市が独自にここまでする理由には、人口を維持するための強い危機感がある。
都城市 人口減少対策課・新坂斉士副主幹:
このまま何も手を打たないでいってしまうと、人口がどんどん減っていく。そうすると地域コミュニティーの維持だったり、インフラの維持がかなり難しくなってくるところではあるが、人口減少を食い止めて、10年後に人口増加に転じさせたい
自治体にとって移住実現のカギは、職業の紹介だ。
愛知県から移住した人は「給付制度のお話を伺いに来たんですけれども、最初から最後まで同じ方が面倒見てくださって、親身になって相談に乗っていただいています。僕たちが移住を決めて調べ始めてからよりも給付額が上がってて、中古物件も自分たちのお金で補修するのが難しいので、すごく助かっています」と話す。
子育てにかかる費用が“無料”
移住実現のもうひとつのカギは、子育て支援だ。第1子からの保育料と中学生までの医療費、妊産婦の健診費用が、2023年度から完全に無料となった。埼玉県から移住してきた三浦さん家族もその恩恵を受けている。
埼玉県から移住・三浦拓也さん:
子どもが保育園に入っていますが、保育料の支援だったり充実さが移住前と違うのですごく助かっていますね
妻・舞さん:
今、妊娠中で妊娠7カ月目なんですけど、妊婦の健診完全無料化なのですごく助かっています
子育てにかかる費用の無料化は、移住者の大幅増加につながっている。
都城市 人口減少対策課・新坂斉士副主幹:
子育てがしやすい環境が都城市にあるといったところが「長く住もうかな」といったところにもなるので、住みやすい環境を考えていくことが定住につながっていくのかなと思います
首都圏で知名度を上げて移住者を増やそうという取り組みもある。都城市では今、約16万人の人口を10年後も15万人台にとどめるなど、人口の減少幅を抑えて、その後は増加につなげたいと見込んでいる。
都城市・池田宜永市長:
もともとの目標が、なかなか厳しい目標なのは十分承知の上ですけど、それでも十分に今、我々が思っている形でいくと、今のところは悪い形ではない
10年後の人口維持、そして増加を目指す都城市の取り組み。初年度の移住者の数は、4カ月で前の年度を上回る好調な出だしとなっている。
(テレビ宮崎)