定期的に北海道で発生 ”ガの群れ”
2023年、札幌市内で起こった巨大ガ「クスサン」の大量発生。
地下鉄駅構内や街灯など、いたるところに群がり市民生活にも影響が出るほどだ。
”ガ”の大量発生、実は2023年の札幌市だけではなく、2009年にも起きていた。
木に群がるおびただしい数の白い物体。
体長5センチほどの「マイマイガ」
十勝の本別町で2009年に撮影された。
街中を埋め尽くした「マイマイガ」

「マイマイガ」は、木々の葉を食い尽くす森林害虫。
幼虫の時には毒もある。

原因不明の大発生により、夜になると街灯の周りにはおびただしい数の「マイマイガ」が飛来した。

普段は人里離れた山中でよく見られる「マイマイガ」だが、2009年はなぜか街中で大量発生した。
記者を襲った マイマイガの群れ

撮影のため記者が手持ちの照明をつけると、
瞬く間に「マイマイガ」の群れに取り囲まれた…

さらに…道路を覆い尽くす枯れ葉のような物体。
「マイマイガ」だ。
昼間の商店街にも…辺り一面覆い尽くされる

昼間の商店街にも至るところに「マイマイガ」の姿が。
建物を覆いつくすように群がっていた。

建物の壁だけではない。
よく見ると、電柱や看板にもすき間なくくっつくマイマイガ。

商店街の人々は、なんと…
マイマイガを掃除機で退治したり、水をかけるなどの方法で戦い続けていた。
当時、町民は「毎日、掃除機とほうきと棒で退治している」と話していた。

しかし、町民の努力もむなしく、マイマイガの進撃は止まらなかった。
建物のいたるところにこびりついている繭のような物体。
これは、マイマイガの卵だったのだ。
マイマイガとの闘いは、道民に大きなトラウマを与えた。
本別町を襲ったマイマイガの大量発生から14年。
札幌市内で新たな巨大ガが大量発生し、市民の生活に大きな影響を与えた。
札幌市で大量発生 巨大ガ「クスサン」

2023年、札幌市内で大量発生したのは「クスサン」
クスサンもマイマイガ同様、電灯などに大量に群がり、ガが嫌いな人々に恐怖を与えた。

ガなどの生態に詳しい北海道立総合研究機構林業試験場の研究職員、内田葉子さんによると、空知地方や上川地方、道南の一部で大量発生したことはあるが、札幌で大発生というのはほとんど聞いたことがない」という。

札幌市西区の地下鉄の構内。明かりに引き寄せられているの大量の「クスサン」
天井近くを飛んでいると思えば、今度は床付近をパタパタと飛び回る。

駅の周辺では天井の明かりに群がる数十匹のガが…
さらに天井だけでなく床にも壁にも、おびただしい数のガが群がっている。
その羽の紋様をよく見ると、まるで動物の目玉のようにも見える。

クスサンの卵がびっしり…2024年以降も大量発生懸念

9月中旬までが発生のピークとみられるクスサン。
毒をもたず、人体に影響はないものの、クスサンの卵には注意が必要だ。
50個単位で木の幹や家の壁などに卵を産み付けるのだ。

このため卵がふ化する2024年以降もクスサンの大発生が懸念されている。
卵の状態で越冬し翌年5月中旬にふ化するため、専門家は卵の段階で駆除することが重要だと指摘する。
「木の幹などに、卵が貼り付いている。マイナスドライバーのようなもので削り取るとよい」(内田 研究職員)
もし卵を見つけたら早めの駆除が必要だ。
北海道民で定期的に大発生する“ガ”
「マイマイガ」「クスサン」の大量発生は、虫嫌いの北海道民に恐怖とトラウマを与えた。
数年に1度起こる街中でのガの大量発生。その原因はいまだ不明だ。