「政治は夜作られる」

安倍首相が、新型コロナウイルス対応で今年の3月から控えていた夜の会食をついに解禁しました。「政治は夜作られる」…こんな言葉があるほど、夜の会食は政治的に重要な意味をもつのですが、その安倍首相の夜会食の裏側をお伝えします。

6月19日午後6時半頃、東京・虎ノ門ヒルズの高級ホテルに到着した安倍首相が会談したのは、麻生副総理、菅官房長官、自民党の甘利税調会長の3人です。このホテルの51階にあるレストランで、およそ3時間にわたり会食しました。

この4人は政権発足当初からの中枢メンバー、まさに盟友です。3年前に4人で会食したときには、その1カ月後に内閣改造さらに衆議院解散と政治が激動したこともあり、番記者は重要なことが話し合われているのだろうと、会合が終わるまでの間、このようにソワソワしながら待っていました。

そしてその会談の中身はというと、去年の参議院選挙の話などで盛り上がったそうですが、身近な話題で盛り上がったのが、4人の自粛期間中の巣ごもり生活トークだったそうです!

趣味のゴルフもジムも控えていた安倍首相が夢中になっていたのは、ネットフリックスの政治家が主人公の人気ドラマ「ハウスオブカード」。麻生副総理も政治家が主人公の「サバイバー」、甘利氏は「ブラックリスト」とお気に入りのシリーズがあるようで…そんな巣ごもり話に花を咲かせたそうです。

そうした和気藹々の3時間だったようですが、安倍首相には会談の狙いの1つとして、新型ロナウイルス対応やポスト安倍をめぐる考えのズレから不仲説もささやかれていた菅官房長官との信頼関係を再確認するという思惑もあったようです。

安倍首相と二階幹事長が仲良く「すっぽん汁」

その5日後、24日の夜…安倍首相はまたも夜の会合に向かいました。場所は首相官邸にほど近い赤坂の料亭です。

安倍首相が実際に座った椅子

当日、この席に安倍首相が座り、その向かいに自民党の二階幹事長らが座って、およそ2時間会談しました。ここで安倍首相と二階幹事長が自ら注文した料理の1つが滋養強壮の効果があるといわれる「すっぽん汁」だったんです。お酒と醤油のかおりがして、細く切った白髪ねぎが添えられているこの一品。

安倍首相と二階幹事長が自ら注文した料理の1つがこの「すっぽん汁」

そのほか、高級魚介料理やヘルシーな野菜などに舌鼓をうったといい、81歳の二階氏と65歳の安倍首相が、体力と健康の維持に気を遣った食事を楽しんだことがうかがえます。

そしてこの会談では、安倍首相の決定を覆す形で二階幹事長が流れを作り実現した国民への一律10万円給付について、安倍首相が感謝を伝えたということです。

二階氏は最近、安倍首相と距離のある石破元幹事長について「期待の星だ」と述べたり、自らの幹事長続投に意欲を示すなど、安倍首相に揺さぶりをかけるような発言が続いていましたが、その中でのこの会話には、安倍首相の二階氏への気遣いぶりが垣間見えます。

会食で政権基盤固め

その他にも、安倍首相は、自身の出身派閥であり党内最大勢力のトップ・細田元幹事長とも会食。また連立政権のパートナー公明党の山口代表とは2人でランチをしています。

これらの会食相手に共通するのは、いずれも政権の土台となる重要人物であり、今後の政局の行方に影響を与えうる人たちだということです。

安倍首相は、夜会食を解禁するやいなや、こうした人々と会談することで政権基盤を改めて固めつつ、秋に行われる見通しの内閣改造や自民党の人事、ポスト安倍レース、そしてにわかにとりざたされている衆議院の解散総選挙について思いをめぐらせたものとみられます。

【取材:フジテレビ 報道局 政治部 阿部桃子】