大阪府の南部で運行する路線バスが廃止されることが突然、発表された。一体何があったのか?
「路線バス」が突然、事業廃止を発表
金剛自動車 白江暢孝代表取締役:
今までご利用していただいたお客様、利用者の方々、地域の住民の方々に大変申し訳なく思っております
廃止されることが決まったのは、大阪府富田林市や河南町など4つの市町村で、14路線のバスを運行する金剛バスだ。ホームページで「今年12月をもって路線バス事業を廃止する」と発表した。
この記事の画像(7枚)その原因は、慢性的な赤字と人手不足だ。
金剛自動車では利用客の減少などで10年程前から赤字の状態が続いていて、2021年の赤字は7200万円にのぼる。
また、新型コロナの流行が収まって以降、観光業が再開したことでバスの運転手の引き抜きなどがあり、30人いた人員が17人に減少した。便数を減らしながら、運行を維持してきたが、採算が取れない状況が改善する見込みがないことから、事業の廃止に踏み切ったということだ。
通勤・通学など生活を支える路線バスの突然の廃止に地域住民は…
通勤で利用している人:
中学くらいから使ってるので、かれこれ10年、20年ぐらい。(廃止されると)不便になりますね
地元住民:
なかったら困る。免許返納したから余計に要りますよ、バス
地元住民:
もう年齢なもので、車も手放してしまっているんです。どうにかしてほしいと思います
4つの市町村は対応について協議しているということだが、12月の廃止に間に合うかは不透明な状況だ。
突然の廃止 行政の支援間に合わず…
金剛バスが発着する近鉄・富田林駅から坂元キャスターがお伝えする。
坂元龍斗フィールドキャスター:
ここにある路線図を見ると、多くのバス停、多くの駅に止まるバスだということが分かります。住民の方に話を聞きますと、お医者さんに行くのにバスを使っていますし、免許を返納している方もいて、バスがなくなったらどうしようかと話しされていました。金剛バスとしては、減便して経費削減を行っていて、運転手が足りない状況なので他社から運転手を派遣してもらっている状態だということです。そういった中で、廃止というニュースが今回伝わってきました
番組コメンテーターで前尼崎市長の稲村和美さんは、自身の行政経験を踏まえ次のように話した。
(Q.税金を投入して存続させることについて)
元尼崎市長 稲村和美さん:
あり得ます。現実に補助金を投入しながら、民間が公共性の高いサービスを行っているというのは、交通の分野ではよくあることです。ただ今回の話を聞いているとかなり厳しい状況なので、これまでと同じやり方でサービスを存続するのは難しいんじゃないかなと思います
坂元龍斗フィールドキャスター:
時期の問題がありまして、金剛バスとしては早めに行政に相談したと言っているのですが、行政に取材したところ今年3月に金剛バス側から補助金をお願いしたいという話があり、一方でその2カ月後の5月にはもう廃止しますという話があったみたいで、結構、急に内容が変わったという話もありました
(Q.もっと早めに相談されていたら、行政としてできることはあった?)
元尼崎市長 稲村和美さん:
期間はかなり急だというのはあると思います。廃業予定が12月ですので、今から12月まででも相当いろんなことを議論・検討していくことになる。それで地域の声を聞いて、みんなの合意を作っていく作業を急ピッチで進めないといけないんじゃないかなと思います
番組コメンテーターでエコノミストの崔真淑さんは、「10年間赤字が続いてると言っても、路線図にある通り、かなり広域で人口も一定数あり、需要もそれなりにあるということなので、完全廃止は相当厳しいものがあると思います。ライドシェアであるとか、他の違う規制緩和であるとか、何かしらと組み合わせて補助金をできるだけ少なくしながら、交通インフラも維持することを検討する必要があると思います」と話した。
坂元龍斗フィールドキャスター:
まだ何も決まっていませんが、コミュニティバスは走っていて、現在駅は通っていないので、駅への接続や新しい走らせ方を考えて、皆さんの足として利用してもらうことなど、行政側としては今後検討していくことになりそうだということです
路線バスの廃止は3カ月先に迫っていて、何らかの対策が求められる。
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月12日放送)