富士山頂にある富士山特別地域気象観測所は、人工衛星などの発達に伴い、すでに本来の役目を終えている。しかし、富士山頂でしか取れない貴重なデータを活用していくため、施設を残そうと、あるNPO法人が活動を続けている。

富士山の山頂の研究者たち

標高3776mの山頂にある、富士山特別地域気象観測所。

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かつては巨大レーダーが設置され、職員が常駐していた。

しかし、人工衛星などの発達に伴いその役目を終え、2004年には無人化された。建物を全て解体し、更地にする案も出ていた。

そんな中、残していこうと活動してきた人たちがいる。

NPO法人「富士山測候所を活用する会」の人たちだ。

気象庁から夏の間だけ建物を借り、研究者に提供する。2023年は33の研究プログラムが行われている。

事務局長を務める静岡県立大学の鴨川特任教授は、雷の専門家だ。これまでにも何十回も富士山に登り、研究を続けてきた。

静岡県立大学・鴨川仁特任教授は、「新たな自然放射線源を見つけた。雷雲や落雷から出ることが最近分かった。これは大事件だと。富士山という場所をもっているからできる」と語った。

富士山の山頂でしか取れないデータも     

なぜ、この場所が必要なのだろうか。

静岡県立大学・鴨川仁特任教授は、「ここでしか取れない、圧倒的なデータがあるから。温暖化ガス、汚染物質、マイクロプラスチックまで検知できた。非常に重要な結果を得ている。環境の研究をすることは、我々が生きるために最も必要なこと。適した場所である富士山の山頂は、生かすべき」と、力強く語った。

施設の維持費は、平地に比べると10倍の費用がかかるという。

それでも、富士山頂でしかできない貴重な研究の機会を、未来につなげていきたいとしている。
(「イット!」 9月1日放送より)

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