福島第1原発の処理水を「汚染水」と発言した野村哲郎農水相(79)。
その後、「言い間違えた」と謝罪し、撤回した。
しかし、連日会見の際に紙を読み上げる謝罪に批判も出ている。

辞任は否定も…連日“読み上げ”謝罪

1日午前11時半過ぎ、神妙な面持ちで会見場に現れた野村農水相。
定例の会見は、予定より25分遅れで始まった。

定例会見は25分遅れで始まった
定例会見は25分遅れで始まった
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野村農水相:
はい、皆さんこんにちは。ご苦労さんです。

紙を見ながら質問に答える
紙を見ながら質問に答える

── 謝罪はし尽くされたと考えている?
昨日、記者の質問に対しまして、汚染...『処理水』という言葉を言い間違えたことについて、福島の皆さまをはじめ、関係者の皆さまに不快な思いをさせて申し訳なかったと、こういう気持ちでいっぱいでございます。

反省の弁も紙を見ながら
反省の弁も紙を見ながら

手元の紙に目を落とし、反省の弁を口にした野村農水相。記者からは、責任に関する質問が相次いだ。

進退について聞かれると...
進退について聞かれると...

── 進退について?
今申し上げましたように、改めて緊張感を持って水産事業者に寄り添って職務に当たりたいと、かように思っております。

辞任は否定
辞任は否定

── 辞任の考えはない?
ですから今申し上げたように、今回の反省を踏まえて、改めて緊張感を持って水産事業者に寄り添った職務にあたっていきたいということであります。

問題発言は8月31日首相との協議後

野村農水相が問題の発言をしたのは8月31日、水産業者への支援について、岸田首相らと協議した直後のこと。

31日に「汚染水」発言
31日に「汚染水」発言

野村農水相:
汚染水」のその後の評価等について、情報交換をしたということです。

「汚染水」は、処理水放出に反発する中国などが使う言葉。

なぜか笑みを浮かべ謝罪
なぜか笑みを浮かべ謝罪

岸田首相から撤回と謝罪をするよう指示を受けた野村農水相は、なぜか一瞬笑みを浮かべたあと、記者団の前で謝罪した。

野村農水相:
処理水を汚染水と言い間違えたことについて、全面的に謝罪して撤回をいたしたいと思います。

31日にも紙を読み上げ謝罪していた
31日にも紙を読み上げ謝罪していた

準備した紙を読み上げる形での謝罪。その姿勢は、翌日の1日も変わらなかった。

野村農水相:
福島の皆様をはじめ関係者の皆様に不快な思いをさせて申し訳なかったと。

記者からも「紙を見ないで」
記者からも「紙を見ないで」

記者:
 謝罪のコメントを下を向いて原稿を読みながらされているように見えて仕方がないのですが、紙を見ないで、大臣のお言葉で真っ直ぐ前を向いて、大臣の思い、コメントをもう一度お聞かせいただけますでしょうか?

昨日から申し上げているように、こういった間違いを起こしたことに対して、大変申し訳ないと、顔を上げて言えばよろしかったんでしょうけども、私は時々やっぱり口が滑ってしまうおそれがあるので...。

野村大臣の「汚染水」発言に、野党も緊張感のなさに苦言を呈した。

立憲・和泉代表も苦言
立憲・和泉代表も苦言

立憲民主党・泉健太代表:
野村農水大臣、どうもそれ以前から、おかしいなというか気もそぞろというか、なんかこう大事な局面に緊張感を持って、事にあたっているふうには見えない。

78歳での念願の初入閣も...

“以前からおかしい”と指摘された野村農水相は、入閣待機組だった2022年8月に初入閣を果たした。

JA出身の野村農水相
JA出身の野村農水相

野村農水相:
私がJA(農協)出身だということ。もういわば、バカがつくほどの農業バカです。

78歳での念願の初入閣。所属する派閥のトップ・茂木敏充幹事長はこう評した。

茂木幹事長:
まあ大学入試で言いますとですね、ほぼ単願に近いですね。農林水産大臣ということになりました。

大臣就任直前には、記者にこんな冗談を言う場面もあった。

平常の体温を強調した2日後にコロナ陽性
平常の体温を強調した2日後にコロナ陽性

野村農水相:
マスクをしてていいですか? 昨日からちょっと熱っぽいもんですから。体温測ったら平常だったんですけどね。

ところが、この2日後、コロナ感染が発覚。

さらに会見中、まさかの行動に出たこともあった。

記者会見中に電話に出る場面も
記者会見中に電話に出る場面も

野村農水相:
ちょっと待ってくださいね。すいません、今記者会見中です。

会見の場で電話に出たあと、何事もなかったかのように会見を続けた。

漁業関係者からは怒りの声

日本の水産資源を第一に考える立場の農水大臣から出た「汚染水」発言。

福島県や宮城県の漁業関係者からは怒りの声が上がった。

漁業関係者からは怒りの声
漁業関係者からは怒りの声

福島・いわき市の漁師:
あれは失礼極まりないよね。

宮城県漁協の組合長:
正確な情報発信というのは、これからも努めてもらえればと。

さらに1日、東京都の小池知事もこう指摘した。

小池都知事も苦言
小池都知事も苦言

小池百合子・東京都知事:
内閣の人事の話がよく出ているので、少しそのへんのところが気の緩みがあるんじゃないでしょうかね。

一方、処理水を「核汚染水」と呼ぶ中国側も反応。

中国外務省の報道官は、1日午後3時半ごろの会見で「ただ本当のことを正直に言っただけだ。日本が撤回すべきことは、汚染水の放出という誤った決定ではないか」と話した。
(「イット!」9月1日放送より)