山形・大江町では、例年にない暑さでコメを育てるために必要な農業用のため池が干上がっている。生育に影響する大切な時期をどう乗り越えようとしているのか、町の担当者や農家を取材した。

コメの収穫量 約7割になる可能性も

大江町小見地区にある農業用ため池・小見大堤は、約30ヘクタールの水田を潤し、周辺のコメ農家にとって欠かせないため池だが、連日の猛暑や雨が少ないことで水はほとんどなくなっている。

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大江町土地改良区・大泉孝義事務局長:
一番下の方から水を取っている状況で、ほとんど貯水率としてはゼロに近いような状況

水がほとんどなくなってしまったため池
水がほとんどなくなってしまったため池

この小見大堤は、上流に3つのため池があり、それぞれにたまった雨水が流れ込んでくる。しかし、どのため池にも水はほぼない。現在、コメは登熟期という実をつけるために重要な時期を迎えていて、町では水を行き渡らせるための対策に追われている。

大江町土地改良区・大泉孝義事務局長:
こちらが小見の揚水機場の内部。ポンプ・モーターで上流に水を送る施設です

近くを流れる月布川の水を、ポンプを使ってため池に送る。機械は24時間稼働させていて、31日までにかかった電気代は、すでに2022年1年分の予算と同額にまで達した。

ポンプを使って川の水を田んぼに
ポンプを使って川の水を田んぼに

大江町では、そのほかの対策もとられていた。ため池の水だけでは足りないため、川からくみ上げた水を2台のポンプを使って田んぼに流している。こうしたふたつの対策をとっているが、水田の水は干上がったままだ。

干上がったままの田んぼ
干上がったままの田んぼ

この地域で約60年間コメを作っている農家も、「初めての経験だ」と話す。

小見地区の農業水利施設管理・伊藤菊美さん:
向こう(川)から水を入れても、3日ぐらい入れないと、ここまで行き届かない状況。7割ぐらいの収穫量に落ちる可能性もある

県によると、貯水率が極端に低下している農業用のため池は、朝日町でも確認されているという。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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