新型コロナ軽症者の療養先ホテル…最後の患者が退所
宮城県が、6月まで新型コロナウイルスの軽症者の療養先として借り上げていた仙台市青葉区のホテルから、先週 最後の患者が退所し、その役目を終えた。
「同じ県民として助けになりたい…」風評被害の懸念がある中、ホテルの支配人が患者の受け入れを決断した思いを語った。
6月29日、軽症者を受け入れていたホテルで消毒作業が行われた。
防護服に身を包んだ作業員が消毒作業を行うのは、青葉区作並温泉の「La楽(ララ)リゾートホテル グリーングリーン」。
このホテルは、4月中旬から新型コロナウイルスの感染者のうち、症状が軽い患者の療養先として、県が1棟200室を借り上げていた。
県との契約が6月で終了し、6月24日に最後の患者がホテルを出たため、29日 施設の消毒が行われた。
「人助けをしたい」受け入れを決断
La楽リゾートホテル グリーングリーン 阿部久美支配人:
重篤になる方(患者)がいなかったこと。そして、スタッフが誰一人感染しなかった。それが一番だった
2カ月間を振り返るのは、ホテルの支配人・阿部久美さん。
La楽リゾートホテル グリーングリーン 阿部久美支配人:
同じ宮城県民として、どこかが引き受けなくてはいけない。その中で手を挙げた
受け入れにはリスクが伴う。それでも「人助けをしたい」という社長の強い思いもあり、受け入れを決断した。
村井宮城県知事:(4月13日)
ご協力いただく施設は、仙台市青葉区作並にある「La楽リゾートホテル グリーングリーン」
施設名を非公表とする判断もあったが、あえて公にすることを選んだ。
La楽リゾートホテルグリーングリーン 阿部久美支配人:
(感染症対策によって)ここは安心・安全になるんだ。それを表に出すことが一番の目的。風評被害はあるかもしれないが、乗り切る自信があった
しかし、最前線で患者の支援にあたる…それは苦悩の連続だったという。
La楽リゾートホテル グリーングリーン 阿部久美支配人:
(ホテル従業員には)家庭の中で高齢者がいたり、小さなお子さんがいる。それを全部クリアするのにどうすればいいか、一番の苦悩
「受け入れ経験生かし安心・安全を提供へ」
ホテルの従業員は約90人。最終的に、患者の受け入れ期間にホテルで勤務することを選んだのは「30人」。従業員の意思を尊重した結果だった。
さらに、全てが初めての作業…。緊張の連続だった。
それでも細かい作業手順を定めたほか、不安を取り除くため毎朝、従業員同士のミーティングを重ねた。
最終的に受け入れた患者数は、4月で延べ88人、5月で67人、6月で30人に上った。
ホテルは、7月末に営業を再開する予定。
感染症対策を徹底してきたホテルだからこそ、今後も安全を提供できると考えている。
La楽リゾートホテル グリーングリーン 阿部久美支配人:
軽症者を受け入れたホテルとしての学びを、今後オペレーション(運営、推進)して、実際に生かして、安心・安全な状態ができることをお客さまに伝えていきたい
(仙台放送)