河野太郎デジタル相は27日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、一般のドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」について、一定の条件を設けた上での導入に前向きな姿勢を示した。

河野氏は、地域ごとにタクシーの待ち時間の条件を設けて、そのサービスの品質が維持できない場合、ライドシェアや自動運転サービスが自動的に解禁されるルールを導入することを提案した。タクシー会社に努力するチャンスを与えた上で、まずは過疎地からの導入を検討する考えを示した。

「岩盤規制」の一つとされるライドシェアについては、菅義偉前首相が19日、訪日外国人観光客の増加による観光地でのタクシー不足に言及し、解禁を提唱した。

番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は、地方の「買い物弱者」問題や、運転手不足が懸念される「運送業の2024年問題」を同時に解決するため、貨客混在でのライドシェア解禁を求めた。

一方、マイナンバーカードについて河野氏は、保険証として使ってもらうことが医療情報の活用を通じて医療費の適正化や医療レベルの向上、ひいては現役世代の医療費負担増の抑制につながると強調した。

また、河野氏は「マイナンバーカードは非常時に非常に役に立つ」と指摘。災害時の避難支援で有用であるほか、救急搬送時に受診歴や持病の薬剤情報が分かることで迅速・適切な救命措置につながるとの認識を示した。河野氏は「非常時のカードと、市民カードとして日常的に使ってもらうカードという両方の要素がこれからどんどん出てくる」と述べ、マイナンバーカードの利便性向上に取り組む姿勢を示した。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
65歳以上で5種類以上の薬を服用している患者が、1種類薬を減らした場合の医療費の削減額は、日本総研の試算で年間約5,730億円だという。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
重複して薬を処方されている人が、1種類減らせばこれだけの金額が浮くとなると、効果はかなり大きい。マイナ保険証の利用拡大で巨額の医療費削減につなげられるかが鍵だと思うが。

河野太郎氏(デジタル相):
マイナンバーカードを保険証として使ってもらうことで、医療費を適正化することにもつながっていくし、医療のレベルが上がる。例えば、一人一人の受診情報を病院と共有しながら、一番いい治療は何だということができる。匿名化した日本人の医療情報全体から、こういう症状のときにこういう治療をしたら、半年後、1年後こういうふうになるよとのデータを集めることができれば、今度はそのデータを患者と医者で見ながら、選択肢は3つあって、一番の場合はこう、二番の場合はこう、三番の場合はこうで、これが一番いいのではないかとデータを見ながら相談できるようになっていく。いろんな意味で日本の医療の質を上げることに直結していく。ビッグデータとして日本の医療の情報をもっともっと活用できるようにしていきたい。

病院に行かない現役世代からすると、私には関係ないよ、と言う人が多いが、保険料負担をしてくれているのは現役世代が多い。そこの保険料が下がれば、自分の負担額が下がるというのはその通り。だから、そこのメリットも示していって、「俺、病院に行かないよ」という世代の人にも、いや、あなたにもメリットくるんですと説明できるようにしなければいけない。デジタル庁で明治元年まで遡ってアナログ規制の法律、省令、その他、約1万、これを全部外した。それがどれぐらいのメリットになるか。これ、GDP(国内総生産)換算で3兆6,000億円という数字が出た。アナログ規制を外しただけで経済がそれだけ活性化するデータが出た。デジタル化することで社会全体が受けるメリット、それがひいてはいろんな形で一人一人に還元されていくことになる。デジタル化をしっかり進めていきたい。

マイナンバーカードは実は非常時に非常に役に立つ。避難所に入所するときにマイナンバーカードと紐付けたアプリで入所登録すると、どこに誰がいるのか、家族がバラバラに避難しても、お父さんはここ、お母さんはここ、子供たちはここにいる(と分かる)。それから自分が卵アレルギーだと言うと、食料を配るときに、卵アレルギーの人がここには何人いるからとか、高血圧の薬を飲んでいるということをアプリに入れておけば、この避難所にはこの薬が何人分必要だということが(把握)できるようになる。どこかで倒れて救急車で運ばれるときにも、マイナンバーカードを使えば今までの受診歴、(持病の)薬剤情報が出てくるので、この人はまずこの検査から始めようという判断ができるようになる。また、自治体によっては例えば、図書館のカードとマイナンバーカードを一体化したり、前橋市のように福祉タクシーのサービスをマイナンバーカードで使ってもらったり、あるいは、都城市はもうマイナポータルから行政手続き300以上できるようになっているということだ。非常時のためのカードと、市民カードとして日常に使ってもらうカードという両方の要素がこれからどんどん出てくる

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
ライドシェアは単なるタクシー(不足)問題や観光客(増加)問題だけではない。これからの日本社会が直面する地方の足の問題でもある。日本の場合にはすぐに税金を使ってローカル線をもう一回復活させるとか、そういう話になるが、ライドシェアで地方の足問題を解決する、買い物弱者問題も解決する。貨客混在と言って、人だけではなくて物を運ぶことになれば、運転手のなり手不足が懸念される運送業の2024年問題の解決にもつながる。いろんなことの解決につながる芽になるため、政治が突破してもらいたい。先進国でやっていないのは日本だけだ。

河野氏:
例えば、タクシーを呼んだときに何分以内に来られる割合が何%以上とか、あるいは駅前の待ち時間を何分以内にできるとか、そういうサービスの質の標準を設けて、タクシーだけでそれが提供できないということになったら、そこでもう自動的にライドシェアをその地域には入れる(というルールを決める)。タクシーだけでサービスを提供できるのならそれはやってくださいと。タクシーだけでサービスの提供ができないときには自動的にライドシェアを入れるというような、何かそういうルールを決める。地域ごとに提供サービスの品質が維持できなければライドシェアを入れるよというルールを決めてやっていくのがいいのではないか。

おそらく今のサービスを提供する代替としてライドシェアともう1つは自動運転というのがある。サンフランシスコは24時間自動運転を走らせるという許可が下りている。日本もまずは過疎地から自動運転のサービスとライドシェアを入れていく。そのときに問題なのはサービスがきちんと提供できるかどうかだ。提供できなくなったところから新しいサービスを足していく。タクシー業界に努力するチャンスを与えた上で、できなければ新しい付加サービスを入れるよということにすれば、理解を得られるのではないか。

日曜報道THE PRIME
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今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論!「当事者の考え」が分かる!数々のコトバが「議論」を生み出す!特に「医療」「経済」「外交・安全保障」を番組「主要3テーマ」に据え、当事者との「議論」を通じて、日本の今を変えていく。
フジテレビ報道局が制作する日曜朝のニュース番組。毎週・日曜日あさ7時30分より放送中。今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論。