ドン・キホーテが、プライベートブランドを中心に扱う初の旗艦点を渋谷にオープンした。コンセプトは、“おドろき専門店”だ。

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ドン・キホーテなどを手がける、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、東京・渋谷の道玄坂に新たな大型複合施設「道玄坂通」を開業した。

施設内には飲食店やホテルに加え、ドン・キホーテのプライベートブランドを中心に、約3000点を展開する新業態の店舗「ドミセ」がオープンした。

記者リポート:
こちらのコーナーには、さまざまな理由で売れ残ってしまった“ドすべり商品”がずらりと並んでいます

コロナ禍で販売が好調だったため、発注しすぎて売れ残ってしまったなど、売れなかった理由を赤裸々に書いたポップが並ぶコーナーも。

このほか、“ドこたえ”と題して、客から寄せられた「ダメだし」をもとに改善した商品も扱っている。

来客店:
お客さんの声を聞いてくれるのは、すごいうれしい

来客店:
僕たちの声が、もしかしたら反映されるかもと考えるとわくわくする

ドン・キホーテは、再開発が進む渋谷でプライベートブランドがどこまで受け入れられるか見極めながら、今後の販売拡大につなげたい考え。

ターゲット明確な次世代型PB

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
今回の新しいお店、早速 取材されたということですが、いかがでしたか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今回の「ドミセ」は、「ド」を超えた驚きが集まる「おドろき専門店」をコンセプトにした、オリジナル商品のみを扱う新業態店舗。
「ついで買い」が楽しい、ワクワク感のある買い物体験がしっかりある。
例えば、熱さが伝わりにくく、冷たさが持続するよう真空断熱二重構造になっていて、1リットル入る大ぶりなステンレス製のジョッキには感心した。
こうしたアイテムの多くは、従来のマスマーケットを対象にして価格訴求や価値訴求を行う商品とは違い、渋谷という立地を意識して、明確に若者をターゲットにした次世代型プライベートブランド「PB3.0」に合致した商品となっている

堤 礼実 キャスター:
具体的には、どういうものなんでしょうか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
PB=プライベート商品は、利益率が約5割と高く、各社が力を入れているため、時代ともに大きく進化している。
まず、「PB1.0」とは、80年代から90年代にかけて、西友の無印良品や、イオンのトップバリューなどが登場して、「安くて、いいモノ」を提供する、価格訴求で消費者に支持され、定着した。 
続いて、2010年代になると、「本当に良いモノ」「買って間違いがない」価値訴求が加速する「PB2.0」となっていった。
そのきっかけとなったのが、セブン-イレブンの高級PB「セブン・ゴールドプレミアム」で、例えば「金の直火焼ハンバーグ」は、1億個以上を売り上げるヒット商品となった。
そして、今回のドン・キホーテが展開する「PB3.0」。その特徴は、マスを対象にはせず、特定のターゲットを設定して売ること。一部の人に刺さればよく、尖った商品が生まれやすい

「信頼関係で開発」ドンキの強み

堤 礼実 キャスター:
そういったものを、開発する時のポイントは?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
ドンキの場合、売れ残った商品は、メーカーなどに返品するのではなく、値下げしてでも売り切るため、メーカーとの良好な関係を築きやすく、それがPB商品の開発にも生きている。
さらに、お客様からの「ダメだし」を受けて商品を改善していくなど、消費者と新たな価値を共に作り上げる価値共創を強く意識している。
ドンキは、店舗、メーカー、お客様の3者で「PB3.0」の開発を進めており、それが3200アイテムを揃えた、今回の新業態につながっている

堤 礼実 キャスター:
「ドすべり」したという、ある種の失敗を失敗のままにせず、遊び心でエンターテインメントに変えてしまうことができるというのは、企業として非常に強みですよね。
こういったワクワクする空間に、「ドはまり」する人もたくさん出てくるのではないでしょうか

(「Live News α」8月24日放送分より)