長野市保健所では猛暑の影響もあってか、今、子猫を中心に保護が増えている。「熱中症のような症状」で衰弱していく猫もいるという。一方、引き取り希望者は減少傾向で、結果、多くの猫を収容中で、保健所は譲渡会への参加を呼びかけている。
この記事の画像(7枚)熱中症のような症状で衰弱
元気に遊び回る保護猫たち。ここは長野市保健所・動物愛護センター。
けがや病気で動けなくなった野良猫や、さまざまな理由で飼うことができなくなった猫を保護している。
例年、出産が増える6月以降、保護が増える傾向にあるが、今年は特に子猫の保護が増えている。2022年の7月・8月は24匹だったが、今年は既に44匹。このところの暑さが原因の一つのようだ。
長野市保健所の笠原美絵課長補佐は、「7月に入り、熱中症のような症状で収容される猫の数が大変増えている。そのままにしておくと、衰弱が進んでしまうので収容している」と話す。
スタッフやボランティアが世話
取材の前日にも3匹の子猫が保護された。まだ目は開いていない。店舗の敷地で発見されたときは、へその緒がついていて、かなり衰弱していたという。当日の最高気温は33.8℃だった。
この日の朝、2匹が死に、1匹だけに…。
長野市保健所の笠原美絵課長補佐は、「置いて帰るわけにいかないので、自宅に持って帰って看取った」と話す。
保護した子猫は体力が回復するまで、保健所のスタッフやボランティアが家で世話をする。
譲渡までに時間…保護猫が増加
その後、譲渡ができるようになるまで1カ月半から2カ月間、保健所で飼育する。
長野市保健所の笠原美絵課長補佐は、「回復させるまでに時間がかかり、さらに、譲渡までに時間がかかってしまう。保健所に長期間滞在する状況が続くとケージが足りなくなり、一つのケージにたくさんの猫を入れなければならなくなるので、飼育環境が非常に悪くなってしまう」と懸念している。
現在、保健所が抱える保護猫は51匹。譲渡を待つ猫は35匹にのぼっている。
譲渡会参加者が減少…小さな命救って
ケージの心配以上に、保健所が気をもんでいるのが「譲渡会参加者の減少」だ。2022年度は、7月までに200人が譲渡会に参加したが、今年度は136人。このため譲渡数は66匹から38匹と減少している。
明確な理由はわかっていないが、コロナ禍の行動制限がなくなり、外出や旅行の機会が増えたことの影響や「おうち時間」が減ってペットに「癒やし」を求める家庭が減ったことなどが考えられるという。
保健所では平日は毎日午後1時から3時まで譲渡会を開催。(※保健所開所日に限る、予約制)
また月1回、休日の譲渡会も開いている。
長野市保健所・笠原美絵課長補佐は、「たくさんの子猫がいます。いろんな子の中から選べると思います。ぜひご家族でお越しいただき、小さな命を救い、家族として迎えてほしい」と話し、譲渡会への参加を呼びかけている。
※長野市保健所は改めて、猫の繁殖力を理解し、外飼いする場合は避妊・去勢の手術をしてほしいと呼びかけている。
(長野放送)