岸田首相は、20日、東京電力福島第一原発(福島県大熊、双葉両町)を視察後、記者団に対し、原発にたまる処理水を海に放出する時期について、21日にも全国漁業協同組合連合会(全魚連)の坂本雅信会長ら漁業関係者と面会した上で、最終決定する考えを示した。「早ければ21日にもお目にかかりたい。西村経産相が具体的な日程の調整を行っている」と説明した。

放出の時期について岸田首相は、「安全性の確保や風評対策の取り組みを政府全体で確認して判断する。今の時点で具体的に時期を申し上げることは控える」と述べた。

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これに先立ち岸田首相は福島第一原発で、処理水を海に放出する設備や放射性物質を取り除くシステムALPSを視察した。その後、東京電力の幹部と面会し、「万全の対応を、廃炉の期間中、長期にわたって持続することが求められている」とした上で「重い責任を、国、東電それぞれが担い続ける覚悟が問われる。お互い肝に銘じたい」と述べた。

福島第一原発の敷地内にあるALPS処理水のタンクは約1000基。東京電力は、敷地を圧迫して廃炉作業に支障が生じかねないとして、ALPSで除去できない放射性物質トリチウムを国の規制基準の40分の1を下回るように海水で薄めた上で、海に放出する方針だ。

これに対し、国際原子力機関(IAEA)は7月、国際的な安全基準に合致していていて人体や環境への放射線による影響は無視できる程度だとする包括報告書を公表している。

政治部
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