東日本大震災と原発事故からの復興が進む、福島県富岡町。コロナ禍で中止となっていた伝統行事「麓山の火祭り」が、4年ぶりに復活した。400年の歴史を誇る祭りに初めて参加した10歳の少年は、父と兄の背中を追って懸命に山道を駆け上がった。

巨大な松明を担ぎ山道を行く

8月15日に雨が降るなか行われた「麓山の火祭り」は、豊作や家内安全を祈る祭りで、長さ約2メートル、重いもので30キロにもなる巨大な松明を担いで山を登る。

福島県富岡町「麓山の火祭り」は400年の歴史を誇る
福島県富岡町「麓山の火祭り」は400年の歴史を誇る
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緊張の初参加

出発の時を待つのは、小学4年の三瓶賢史さん。「お兄ちゃんとお父さんがやっていたので、僕もやることになった」と話し、初めて参加に緊張を隠せない。

緊張…初参加の小学4年・三瓶賢史さん
緊張…初参加の小学4年・三瓶賢史さん

3回目の参加となる兄の秀介さんに、松明の持ち方などアドバイスをもらいながら、一緒に山頂を目指す。賢史さんは「お兄ちゃんも登ったので、僕も登れるように頑張りたい」と話した。

兄・秀介さんにアドバイスをもらい挑む
兄・秀介さんにアドバイスをもらい挑む

4年ぶりの開催

新型コロナの影響で、4年ぶりの開催となった2023年は25人が参加。
いよいよ出発の時。「千灯、千灯」の掛け声とともに標高230mの山頂を目指す。賢史さんも、身長より長い松明を持ち、前を進む秀介さんの背中を追う。

身長より長い松明を担ぎ 標高230mの山頂を目指す
身長より長い松明を担ぎ 標高230mの山頂を目指す

ヤケドしても登りきる

大きな松明を担ぐ、危険と隣り合わせの火祭り。雨でぬかるんだ道を一歩ずつ進んでいく。

重い松明を担ぎぬかるんだ山道を登る
重い松明を担ぎぬかるんだ山道を登る

「ヤケドしても必ず登りきることしか考えてなかったです」と話す賢史さんも、無事に山頂へ到着。

「ヤケドしても登りきる」たくましく見える背中 
「ヤケドしても登りきる」たくましく見える背中 

「大変でしたけど、何とか登りきることができた。登りきった人たちの、仲間入りできたのでとても良かった」と語った。

大役をやり遂げた賢史さん
大役をやり遂げた賢史さん

4年ぶりに戻ってきた伝統の火祭り。松明の炎は、富岡町の復興の道を照らす希望の灯りでもある。

(福島テレビ)

福島テレビ
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