夏の美しい景色が広がる美瑛町
コロナ禍が落ち着き、2023年は多くの観光客でにぎわいを集めている。

「大人の夏休みです。いいですね、ほんまに」(兵庫からの観光客)
”パッチワーク”とも呼ばれる美瑛町の光景を生み出しているのは”農業”。
丘には小麦やそば、ジャガイモなどの畑が広がっている。

そんな中、ちょっと珍しいスタンプラリーが人気を集めている。
美瑛町を100%味わえる「スタンプラリー」
参加するのは29の飲食店。
条件は、美瑛産小麦を100パーセント使った料理を提供すること。

美瑛自慢の小麦と美しい景色をとことん味わうスタンプラリーだ。
その一つが「ブランルージュ」。
お店を包みこむ、森の中で味わう料理は
トロトロに軟らかく煮た大きな牛肉がゴロゴロと入ったビーフシチュー。

これに合わせるのが、美瑛産の香麦という品種で作られたベーグル。
モチモチとした食感で、口いっぱいに小麦の味わいが広がる。

「日常生活の忙しさを忘れてゆったりと食事ができる環境づくりをしている」(ブランルージュ・樋山 美也子さん)
一方、自ら建てたログハウスで美瑛産小麦を使ったパスタを提供する「だぐらすふぁ~。」

希少な美瑛産の”赤麦”を使った平たいパスタは、小麦の香りを感じられると評判だ。
「自家製で卵とオリーブオイルと小麦だけで作っているので小麦が香る」(だぐらすふぁ~。・田口一彦さん)

スタンプラリーの途中、美瑛の美しい景色が目に飛び込んでくる。

いまは秋まき小麦の収穫の真っ最中。
生産の様子も見ながら、お店で味わう。
この時期だけのぜいたくだ。

小麦農家も驚きの大ヒット! 生産者・観光協会が企画
企画したのは小麦生産者や観光協会などが構成する美瑛小麦推進協議会。
「美瑛町の耕作面積の4分の1が小麦で占められていて、どちらをむいても必ず小麦畑が見える環境にある。その農業景観が非常にいい」(美瑛町地域おこし協力隊・武田昌宏さん)
このスタンプラリーの人気に、生産者は驚きと喜びを隠せない。
「これだけ観光客が来るとは、まさかこうなるとは思わなかった。こういうロケーションで育った麦だと宣伝してエンドユーザーを増やしてもらいたい」(美瑛小麦の生産者・尾形安雄さん)
目の前の景色も”味わい”のひとつ
スタンプラリーに参加するお店のひとつ、「あるうのぱいん」。

観光シーズンには店の外まで行列ができる人気店。
28年前から美瑛の小麦にほれ込み、パンを作っている。

人気は美瑛産香麦の田舎パンを器にした”チーズフォンデュ”。
目の前に広がる牧草地帯も”味わい”のひとつだ。
「景色が味付けになってここに来たらこのパンを食べたいなと、この景色を見ながら食べたいなと言われるようになった」(あるうのぱいん・玉井 光代さん)
さらに、生産から加工、販売までを一貫して行う「うどん処麦彩の丘」。

美瑛産小麦、きたほなみを使った、こしと風味のあるうどんが人気だ。
お店は連日、海外からの観光客で混雑している。
美瑛小麦の認知度は確実に高まっていると店側は感じている。

「最近は食べる前に『美瑛の小麦を使っているか?』と聞かれるようになった」(うどん処麦彩の丘・佐野修さん)
スタンプラリーでさらに多くの人に味わってもらうとともに、地元で生産から消費まで進んでいくことを期待している。
そして29店舗のうち、町を見下ろす丘の上にある「atelier nipek(アトリエ ニペク)」。
お店で提供しているのは美瑛産きたほなみを使ったアーモンドタルト。

写真家でもあるオーナーが撮影した美瑛の風景の写真に囲まれてスイーツを味わう。

さらに絶景スポットが。
ウッドデッキからは美瑛の丘と十勝連峰を見ることができる。
農業が作りだした景観とそこから生まれる恵み。
景色とグルメが一度に楽しめるスタンプラリーは10月末までだ。
