プロのバスケットボール選手の経験をシェアする、新しいキャリア教育とは。

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大学生:
人生の中でさまざまな選択肢で分かれるところが、移籍を含め、あると思うんですけど、そういう時にどっちを選択するか、大事にしていることはありますか。

日本バスケットボール選手会・田渡凌会長(福島ファイヤーボンズ):
めちゃめちゃいい質問だと思います。

大学生からの鋭い質問、それに応じるのは、現役のプロバスケ選手だ。

バスケ界から始まる、プロスポーツ選手が果たす“未来志向の新たな取り組み”とは――。

茨城県の流通経済大学で、日本バスケットボール選手会の会長を務める田渡凌選手が行っていたのは、“キャリア”について考える講演だ。

大学生:
人生におけるさまざまな選択があると思うが、大事にしていることはありますか。

日本バスケットボール選手会・田渡凌会長(福島ファイヤーボンズ):
正直、どの選択をするかは、自分的にはあんまり重要じゃないと思う。選択した道をどれだけ信じて、そっちに行くと決めた自分にどれだけコミットできるかがすごく大事。
そこで頑張れなかったら、終わってしまう世界。自分はそういう世界にいる。

プロの言葉で現場に触れる

講演会の内容は、「バスケ選手があなたの力に」と題した企画。

この講演会には、将来バスケに関わる仕事に就きたいと考えている学生を中心に、約30人が参加した。

大学生:
個人的に、環境が変わるのがあまり得意じゃなくて、新しい人脈を作ったり、環境に慣れるのが得意ではないんですけど…。

大学生からの質問に答えたのは、高校卒業後にアメリカの大学を経て、Bリーガーとなった田渡選手。

移籍など、大きな環境の変化を何度も経験している立場からアドバイスした。

日本バスケットボール選手会・田渡凌会長(福島ファイヤーボンズ):
新しい所に行ったからこそ、得られるものもある。もちろん、前に所属していたところに長くいて、得られるものもたくさんある。

自分はその新しい環境だったり挑戦だったり、新しい人に会っていろんなものを吸収するのが
人生を豊かにするなと思っている。環境が変わった時、そういうことを意識している。

プロ選手がオフシーズンを活用して、大学生に“経験や学び”をシェアする取り組み。

各地域に新たなアリーナが建設されるなど、スポーツの産業化がどんどん進み、人材確保が急務となる中、よりバスケ業界に興味を持ってもらおうという目的で行われている。

大学4年生:
いろいろな挫折がある中で、挫折を挫折と思わないところは、プロの人からしか聞けない話だった。

大学3年生:
Bリーグの方と関わることによって、自分がもっとその業界に入りたいという気持ちは、すごく強くなりました。

活動の背景は、バスケ界の発展だけが目的ではない。

日本バスケットボール選手会・田渡凌会長(福島ファイヤーボンズ):
自分が信じているもの、社会に必要なこと、そういう部分で何かのリーダーになって、発信したり、行動に移していくというのはすごい大事だと思う。

今後も自分も続けていくし、選手会の会長として、バスケット界が他のリーグよりも、そういうところでリードしていけるような存在になりたいなと思います。

機会を受けて就活自体の見直しを

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
現役Bリーガーの経験や、学びを大学生とシェアするキャリア教育、どうご覧になりますか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
会社や仕事について知ることや、自分がどんなことに興味あるのかを考えるには時間がかかる。

また、キャリアを考える上で、たくさんの情報や人に触れることは大事だが、時間や人脈などを考えると限度がある。

そういう意味で、現役の選手がその業界について話したり、キャリアについての考え方を話すことで、色々なパターンを知っていくのはいいことだと思う。

堤 礼実 キャスター:
さまざまなキャリアの方たちと接する機会があると、それまで見えていなかったものが見えることもありそうですね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
今回はスポーツ選手だが、普通に会社で働いている人を含めて、いろいろな経歴の人の話を聞く機会がもっともっと増えてもいいはず。

こういう取り組みを通じて、就活の考え方や、スケジュールが変わっていけばと思う。

実は、「就活」は3つの側面に分解することができる。

1つ目は、会社を知る、仕事を知ること。2つ目は、自分がどんなことに興味があるのかを考えること。3つ目は、企業が行う選考・選抜。

この3つの側面に、就活の限られた期間に向き合うと、忙しさの中で内定をもらうことに意識が向いてしまいがち。

これが就活を難しくしたり、入社後のミスマッチを招くことにもつながっている。

堤 礼実 キャスター:
就職活動を3つに分解するということですが、それぞれと、どう向き合っていけばいいのでしょうか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
1つ目の会社や仕事を知ることと、2つ目の自分の興味などを探索することについては、就活時にするのではなく、学生生活を通しながら少しずつ、でも長い期間をかけてできるようにしていく。

その上で、選考する期間はぐっと短くして、一気にやる。そうすることで、就活による負担も一気に減るし、仕事や会社、そして自分のことを知った上で就活することになるので、ミスマッチも減ると思う。

なので、就活という短い期間に一気に複数のことをやっていくのではなく、複数の要素を分解して行うことで、学生や会社にとって、よりよい活動にできるのではないか。

堤 礼実 キャスター:
夢を叶えたり、多くの挫折を経験した人の話から学ぶことは多いですよね。

さまざまな分野の第一線で活躍する人、あるいは、それを支える人など、それぞれの視点に触れることで、キャリアの選択肢を増やしてほしいと思います。

(「Live News α」8月8日放送分より)