近年、さまざまな「SDGs」の取り組みが行われているが、山形・酒田市のスーパーが取り組んでいる無駄のないSDGsが今、注目を集めている。

コアな人気集めている「エコ米」

2023年5月、山形・鶴岡市の水田では、県内の主力品種「つや姫」の田植えが行われていた。一見、普通の田植えだが、実はその「水田」に大きな秘密があった。

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東北イートップ・成澤剛社長:
これはリサイクルをメインとしたコメ作りです。「庄内エコ米」

その「コメ」を求めてやってきたのは、酒田市で人気のスーパー・ト一屋(といちや)。

酒田市のスーパー「ト一屋(といちや)」
酒田市のスーパー「ト一屋(といちや)」

パッケージに大きく書かれた「エコ米」の文字。つや姫とはえぬきの2種類、価格は一般のものとほぼ同じで、コアな人気を集めているコメとのこと。

野菜くずをたい肥化し循環型の米栽培

でも、なぜ「エコ米」なのか?

ト一屋・佐藤善友さん:
スーパーの生ごみをたい肥化して、そのたい肥で作ったコメなので「エコ米」と名付けました

利用客がすぐに使ったり食べたりできるよう、このスーパーでは野菜や果物の芯や皮などを丁寧にカットしている。そこで必ず出るのが「食べない部分」。焼却処分ではない“別な利用法”を検討し、たい肥化にたどり着いた。

ト一屋・佐藤善友さん:
ト一屋では年間150トンぐらい“非可食部分”が出る

野菜くずや生ごみは、鶴岡市内の専門業者の施設に集められ「たい肥化」されている。使うのは大きな「急速発酵装置」だ。

東北イートップ・安達秀人さん:
装置には発酵菌が入っていて、だいたい2週間ぐらいでたい肥ができる

投入した野菜くずなどは発酵・分解されて、約5分の1の量の「たい肥」となる。できたたい肥は臭いが少ない一方で栄養分が多く、コメだけでなく、枝豆のような穀類に使うと甘みが増すそう。

この会社ではこのたい肥を使い、米を減農薬栽培していて、その一部をト一屋が仕入れ、「庄内エコ米」として年間約2.5トンを販売している。両者が連携して、無駄のない「循環型の米栽培」を実現している。

東北イートップ・成澤剛社長:
(Q.地球環境に優しいコメ?)全然問題ない。非常にありがたいお言葉

スーパーの生ごみをたい肥化して米栽培に生かし、販売までする取り組みは珍しく、2019年には、優れたリサイクルシステムとして県の認証を受けた。今ではこのエコ米で作った日本酒も販売していて、人気になっているという。

食品リサイクル率は「100%」を達成

ト一屋では、魚の内臓などは「フィッシュミール」に。揚げ物の廃油は「家畜のエサ」に再利用。また、地元の大学と連携して、食べ物の無駄をなくすフードドライブの取り組みも行っていて、食品リサイクル率は「100%」を達成している。

ト一屋・佐藤善友さん:
SDGsも自分ごととして捉えて、「自分にできることは何なのか」と考えていった時に初めて扉が開く。少しでも地域が自立していけるような考え方を根付かせていくことができたら企業としてもうれしい

東北イートップ・安達秀人さん:
SDGsとよく耳にするが、われわれはけっこう前から食品リサイクルをやっていて、食品残さも年々取り扱いが増えている。われわれのような取り組みがもっと広がっていけばと感じている

発想と工夫を駆使して、酒田市のスーパーからもSDGsは広がっている。

(さくらんぼテレビ)

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