慰安婦問題に関して旧日本軍の関与を認めた「河野談話」が発表されて4日で30年になるのを前に、松野官房長官は、岸田内閣が「河野談話」を継承しているかを問われ、「全体として継承しているものであり、変更はない」と述べた。

河野談話は1993年に当時の宮沢内閣の河野洋平官房長官名で発表され、慰安婦問題について「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」として、「おわびと反省」を表明した。
談話については、安倍内閣などその後の政権も「全体として継承している」との立場をとってきた。
一方で、談話については、客観的証拠のない旧日本軍による強制連行があったととられてしまうとの懸念も根強いほか、「いわゆる従軍慰安婦」という記述を巡っても、政府が2021年に、「誤解を招く恐れがある」「単に慰安婦という用語を用いることが適切である」との答弁書を決定するなど、物議を醸してきた。

松野長官は3日の会見で談話について、「慰安婦問題を長く記憶にとどめ、繰り返さないという決意を表明したものであり、政府の基本的立場は談話を全体として継承しているものである」と述べ、2021年の答弁書に沿う形で説明した。