ユネスコの無形文化遺産にも登録されている、愛知・津島市の「天王祭」が、7月22日から23日にかけ、6年ぶりに行われた。

ユネスコ無形文化遺産にも登録

鮮やかな光で照らされた丸池の水面をゆっくりと進む5艘の船。約500個の提灯が付けられた「巻藁船(まきわらぶね)」だ。

愛知・津島市の「尾張津島天王祭」は、津島神社の祭礼として600年近い歴史を持ち、2016年12月にはユネスコの無形文化遺産にも登録された。

7月22日・23日の2日間にわたって開かれたが、台風やコロナの影響で通常開催は6年ぶりだ。

21日、会場の近くにある船着き場では、翌日の宵祭に向け、巻藁船の柱の取り付けが進められていた。

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作業の指示をする男性。今回の祭りで、船の運行スケジュールなどを取り仕切る大役を任された山田信秀さん(66)だ。

山田信秀さん(66)
山田信秀さん(66)

会場の天王川公園近くで生まれ育ち、これまで30年近くにわたり参加してきた生粋の祭り男だが…。

山田信秀さん:
普段の当番じゃない時に比べると倍は疲れる。6年ぶりということもあるし、重荷はありますね

祭りの通常開催は6年ぶり。台風やコロナの影響で、中止や縮小開催などが続いていた。天候や準備の進捗(しんちょく)状況など、心配ごとが尽きないようだ。

山田信秀さん:
1日前、2日前になると逆に緊張感の方が増しちゃって、ちょっと疲れた感じはありますね。台風が来ることはないと思っていますので、普段通りのきれいに飾った巻藁船をお見せできたらなと思っております

迎えた22日の宵祭。6年ぶりの本格開催とあって、まだ日があるうちから大勢の人が天王川公園に集まってきた。

船に手際よく提灯が飾り付けられていく。会場には飾りの確認に余念がない山田さんの姿もあった。

山田信秀さん:
1年の日数を表す365個の提灯を付けています

ーーその上にぶら下がっているものは?

山田信秀さん:
あれは1年の月の数、12カ月。2023年は旧暦のうるう年という指示をいただいているので、13個付けています

山田信秀さん:
最後に周り、絹灯篭(きぬどうろう)といいますけれど、これが40個ほど付いています。今は点火してないですけど、これをつけると、いよいよ出船準備完了

そして夜9時過ぎ、巻藁船が入ってきた。宵祭のスタートだ。提灯の灯が会場を幻想的に照らした。

大きなトラブルもなく、無事に終了した。

朝祭でハプニングも、6年ぶりの祭りは無事全う

翌23日、能人形を乗せるなど前日の船から様変わりした「車楽船(だんじりぶね)」で池を進む「朝祭」が行われるが、ハプニングがあった。

船の屋根が木にひっかかり、池に落ちてしまった。しかし運行に問題なく、祭りは続行。

鉾持(ほこもち)と呼ばれる男性たちが池に飛び込み、ご神体が祭られている場所まで泳ぎついた。

予定されていた2日間の行事が無事に全て終了。6年ぶりとなる通常開催で大役を任された山田さんに感想を聞いた。

山田信秀さん:
本格的な尾張津島天王祭を全うできました。無事、無事じゃない部分もありましたけど、なんとかできました。じゃあ、また来年

(東海テレビ)

東海テレビ
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