根強い人気のおもちゃ「ミニ四駆」。1982年の発売から40年余り、今、第4次ブームが到来、親子で楽しむケースが多いようだ。親たちは懐かしく、子どもたちは新鮮な気持ちで走らせている。また、親子で一緒に組み立てることができ、モノづくりの楽しさも実感できるのが魅力だ。

親子イベント
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第4次ブーム「親子」がけん引

サーキットを疾走する「ミニ四駆」。先日、長野市で開かれたイベントには、多くの家族連れが訪れていた。

参加した子どもたちは「かっこいい」、「小さな改造でどんとん早くなっていく」、一方、父親は「昔、ミニ四駆で遊んだ世代で懐かしい」、「今はこんなレース会場があってうらやましい」などと話し、イベントを楽しんでいた。

「ミニ四駆」は今、第4次ブーム。

けん引しているのは「親子」だ。

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1982年に発売 火付け役は漫画

「ミニ四駆」は、電池で動くモーター付きの自動車模型。

小学生のお小遣いでも購入しやすい価格設定で1982年に発売された。

やがて1988年に第1次ブームが訪れる。

ミニ四駆第1次ブーム(画像提供:タミヤ)
ミニ四駆第1次ブーム(画像提供:タミヤ)

火付け役となったのが、漫画雑誌「月刊コロコロコミック」に連載された「ミニ四駆」の漫画「ダッシュ!四駆郎」。

漫画のように「レースで活躍を」と、子どもたちはマシンを改造して楽しむなど爆発的な人気となった。

第2次ブームは1994年ごろから。

こちらも「ミニ四駆」が題材の漫画がきっかけだった。

1997年、NBSホールで開かれた大会では、子どもたちを中心にミニ四駆レーサーたちが自慢のマシンでスピードを競い合っていた。

ミニ四駆第2次ブーム(画像提供:タミヤ)
ミニ四駆第2次ブーム(画像提供:タミヤ)

「第3次ブーム」30代男性を中心

その後、下火になったが、2012年、13年間、開かれていなかった全国大会の「ジャパンカップ」が復活。

30代の男性を中心に人気が再燃し、第3次ブームとなった。

2012年「ジャパンカップ」(画像提供:タミヤ)
2012年「ジャパンカップ」(画像提供:タミヤ)

そして、2021年あたりから始まったとされるのが第4次ブームだ。

長野市にある創業81年の「東京堂模型店」。

懐かしい飛行機や電車の模型が所狭しと並ぶ中、「ミニ四駆」の売り場は、店の入り口の一番目立つところにある。

東京堂模型店(長野市)
東京堂模型店(長野市)

親子で楽しむ「第4次ブーム」

この位置に陳列するようになったのは、10年ほど前の第3次ブームから。最近はその頃と比べると、やや客層が変わってきている。

東京堂模型店・浅野いずみ代表:
子どもだったときにやられた方が、お父さんになって、お子さんと来られて一緒にやられる新しいファンの方もいらっしゃるようになった。親子で楽しんでいただけるのが、ミニ四駆のいいところだと思います

第4次ブームの始まりはコロナ禍で「おうち時間」が増え、親子で楽しめる遊びとして人気が再燃したからといわれている。

ミニ四駆第4次ブーム(画像提供:タミヤ)
ミニ四駆第4次ブーム(画像提供:タミヤ)

実際、先日のイベントにはおよそ100人の親子連れが参加した。

会場では東京堂模型店の協力で、その場で組み立てる体験教室も。

東京堂模型店・浅野いずみ代表:
(親子で)一緒に作る姿はすごくほほえましいし、一緒にやるのを見るとうれしくて。ゲームとかスマホとか、デジタルの方にどうしても今の時代、興味がいくと思うけど、昔ながらの工作とか、作る楽しみもあるということを模型屋として伝えていけたら

親子で組み立て
親子で組み立て

親子で組み立て、マシンが完成したらすぐにコースへ。

7歳の男の子は「走らせるところが楽しい」、41歳の父親は「一緒に作ることが楽しい。親子間をつないでくれる大切なひとつの玩具として、ありがたい」と話す。

コースで走らせる
コースで走らせる

2年間でそろえた部品250種類以上

飯島敏博さん(44):
ここは全部モーターで、こっちは電池とか、パーツとか、あと工具。これ1個あれば、どこのレースに行ってもできるみたいなセットになっています

本格的な「ミニ四駆ボックス」を見せてくれたのは、飯島敏博さん(44)と陽向さん(10)の親子。

ミニ四駆ボックス
ミニ四駆ボックス

陽向さんは2年前からミニ四駆を始め、全国大会に出るほどの腕前だ。

陽向さん(10歳):
自分で、ここをこうしたら速くなるとか、思いついて作るのが楽しい

父・飯島敏博さん(44):
超うれしいですね、親子で遊べるってなかなかないので。今、みんな遊ぶっていったらゲームばかりなので。(一緒に作る?)そうですね、毎日作って、家にもたくさんあるので

飯島さん親子
飯島さん親子

ということで、飯島さんの自宅にお邪魔させてもらった。

部屋の壁には、ミニ四駆や大量のパーツが飾られていた。

父・飯島敏博さん(44):
次の日が大会とかだと、パーツを準備できるように集めたら、こんな感じに、いつの間にかなりました

2年間でそろえた部品は250種類以上。

飯島さんのお宅訪問
飯島さんのお宅訪問

大会仕様にしたコースも手作り

さらに、距離や幅を大会仕様にしたコースも手作りした。

父・飯島敏博さん(44):
2年前に家族で作りまして、手作りですね。ホームセンターで買って、切って、貼って作りました

コースも手作り(画像提供:飯島さん)
コースも手作り(画像提供:飯島さん)

陽向さんの「作業場」はリビングの隣。整備に余念がない。

陽向さん(10歳):
(今何してるの?)全部バラして、パーツクリーナーで洗ってきれいにして、乾かして。これをやらないと、抵抗になったりして遅くなる

父・飯島敏博さん(44):
勉強するところなんですけど、いつもこんな感じで。片付けろって言っているんですけど、いつもこんな感じでやっています

夢中で作業する陽向さん
夢中で作業する陽向さん

そう言う敏博さんもリビングの机で「作業」。

父・飯島敏博さん(44):
子どもの頃にかえった状態です。ミニ四駆って子どもも大人も関係なく一緒に遊べるんで

親子2人で黙々とー。

ミニ四駆には、モノづくりの楽しさもある。

親子2人で黙々と作業
親子2人で黙々と作業

さあ!親子対決

整備したミニ四駆で親子対決。

「よーい、どん!」

敏博さんのミニ4駆はコースの外へ…

父・飯島敏博さん(44):
あー、飛んだ。負けました

敏博さんのミニ4駆はコースの外へ…
敏博さんのミニ4駆はコースの外へ…

いずれ3世代で楽しむ光景も!?

陽向さん(10歳):
(お父さんと一緒にミニ4駆で遊ぶのは?)楽しい、けんかするときもあるし

父・飯島敏博さん(44):
私たちが第1次ブームと呼ばれていて、私のときは、こんなにパーツもたくさんなかったですし、走らせる場所、コースもなくて、田んぼのあぜ道のU字溝の中で走らせるのが精いっぱいだった。だからこそ今、楽しいのかもしれない

ミニ四駆の販売台数は、累計1億8000万台を超え「世界最小のモータースポーツ」ともいわれている。

人気が続けば、いずれ孫も入れた、3世代で楽しむ光景が見られるかもしれない。

親子イベントの様子
親子イベントの様子

(長野放送)

長野放送
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