札幌のホテルで男性会社員（62）が刃物のようなもので首を切断され、浴室でうずくまった状態で見つかった事件で、29歳の女と父親で医師の男が逮捕された。親子はなぜ残忍な犯行に及んだのか？
ホテルに頭部を切断された遺体 親子逮捕
謎多き事件の舞台となったのは、札幌市の歓楽街ススキノ。
7月2日、ホテルの2階の客室で、首を切断された男性の遺体が見つかった。
遺体発見から3週間あまりがたった7月24日、急転直下の逮捕劇を見せた。
北海道県警は午後3時頃に会見を開き、職業不詳の田村瑠奈容疑者（29）と父親の医師・田村修容疑者（59）を逮捕したと発表した。逮捕罪名は死体損壊、死体領得、死体遺棄罪。
北海道県警の会見：
被疑者両名は共謀の上、令和5年7月1日深夜から翌2日にかけ、札幌市中央区に所在するホテルの一室において、刃物様の凶器を用いて被害者の頚部を切断した上、離断した頭部を領得し、不詳の場所まで運搬したというものでございます。
1人でホテルを出て…防犯カメラ映像から逮捕へ
田村容疑者親子と殺害された男性は、どのような関係だったのか？
これまでに明らかになっている被害男性の行動は次の通り。
遺体発見前日の7月1日、男性は家族に行き先を伝えないまま、恵庭市の自宅から車で札幌市へ。立ち寄ったのはディスコだった。
きらびやかな照明の下、音楽に合わせて踊る男女。男性は7月1日午後4時～午後10時まで、一人でディスコイベントに参加していた。
その後、別の人物と合流。午後10時50分、イベント会場から約300m離れたホテルに2人で入室する。
すると、翌2日未明に「先に出る」といった連絡がフロントに入る。
男性とホテルに入った人物は、午前2時頃に一人でホテルを出る。近くの防犯カメラの映像ではホテルを出た後、一旦南へ向かい、約180m進むとなぜかUターン。再びホテルの前に戻り、今度は西側に歩いて行った。
男性と一緒にいた人物は、小柄な体格で女性のような衣服を身につけ、つばの大きい帽子を目深にかぶっていた。さらに、大型のスーツケースを引いてホテルから立ち去った。
警察は防犯カメラ映像などから、瑠奈容疑者が関与した可能性が強いとみて捜査し、容疑が固まったため逮捕に至った。
一方、現場から持ち去られたとみられる被害者の頭部はまだ見つかっておらず、警察が捜索を続けている。
“首切断”は事件発覚を遅らせるため？
被害者の首を切断し持ち去るというショッキングな犯行。フジテレビの平松解説委員は、「事件の発覚を遅らせる狙いがあったのではないか」と見ている。
フジテレビ 平松秀敏解説委員：
首を切断して持ち出すということは、被害者の身元をわからなくする。事件の捜査を遅らせる、発覚を遅らせる狙いがあったかもしれない。ただし、今回はかなり猟奇的なので、強い恨みによる犯行の可能性もある。動機は今後の捜査で明らかにすべき。
警察は2人の認否については明らかにしていない。瑠奈容疑者が被害男性と知人関係にあったとみて、両者の間にトラブルがなかったか調べている。
父親が車で送迎した可能性 警察が家宅捜索
医師である父親と娘の残忍な犯行。逮捕された容疑者2人の自宅はブルーシートで覆われ、中を伺うことはできない。
田村容疑者の一家は夫婦と娘の3人暮らし。近所との付き合いは、あまりなかったという。
警察は7月24日朝から容疑者宅の家宅捜索を行い、凶器や被害者の頭部の捜索につながる情報の収集をしているとみられている。警察がダンボール数箱を自宅から運び出す様子も見られた。
いまだ様々な謎が残るこの事件。
警察は、父親の修容疑者はホテルに入っていないとみている。ただ、犯行前後に瑠奈容疑者を車で送り届けた可能性があり、さらに、瑠奈容疑者が遺体を損壊すると知りながら共謀した可能性もあるとみている。
見つかっていない男性の頭部を含め、警察は今後の捜査で明らかにしたいとしている。
（「イット！」7月24日放送分より）
