北海道内全域で増えるクマの被害。ヒグマの生態に詳しい専門家がクマ対策について、鈴木知事に提言した。
相次ぐヒグマの目撃
この記事の画像(8枚)暗闇を歩く4頭のクマ。カメラの方向を警戒するクマに、子グマとみられる3頭が続く。この写真は7月1日、札幌市南区北ノ沢で撮影された。
母親とみられるクマは駆除されたが、撮影場所近くの市道で3頭の子グマが、ゴミを漁っているのが目撃され、札幌市が箱罠を設置するなど対策を進めている。
札幌市内では2023年6月、南区の真駒内公園で複数のクマの目撃があり、一時、公園の一般開放が休止されたほか、5月には、上川地方の幌加内町朱鞠内湖で釣り客の男性がクマに襲われ、死亡した。
クマとの共生は…専門家からの提言
北海道内各地で相次ぐクマの出没や目撃情報。
専門家らで構成された「ヒグマの会」は、今後10年のクマ対策についての提言、「ヒグマと向き合うグランドデザイン」を鈴木知事に手渡した。
北海道内のクマによる農業被害額は、春グマ駆除が廃止となった1990年以降、20年間で3倍以上となっている。
クマと人間の生息域が次第に近付いてきているという。
「クマが人を怖がらなくなった。社会課題の施策のひとつとして取り上げていただきたい」(ヒグマの会 山本 牧 副会長)
ポイントは「ゾーニング」
提言のポイントは、「ゾーニング」だ。人の住む場所とクマの生息域を電気柵などで明確に区分して、双方にとって住み良い環境を確立し、人とクマの接触を極力、減らす。
「かつてないほどクマとの軋轢が高まっている。連携して向き合っていきたい」(鈴木 直道 知事)
クマによる被害を最小限に抑え、これから人とクマがどう向き合っていくかを考えることが今、求められている。
(北海道文化放送)