7月13日に「盗撮」を取り締まる新しい法律が施行される。新法によって何が変わるのだろうか。

「盗撮行為」刑法で処罰可能に

6月16日の国会で、性犯罪の規定を見直す刑法の改正案が、全会一致で可決した。

この記事の画像(9枚)

これにより新たに定められるのが「性的姿態等撮影罪」。正当な理由なく、人の性的な部位や、人が身に着けている下着などを撮影する「盗撮行為」を指し、改正された刑法で処罰される。

これまで盗撮行為は、各都道府県などが定める「迷惑行為防止条例」で処罰されてきたが、法律の専門家は限界を指摘してきた。

山内法律事務所・有働悠一弁護士:
迷惑行為防止条例はそもそも、公共の場所、例えば道路など人目につくような場所での迷惑な行為を取り締まるものだった。従って、例えば「建物の中」や「教室の中」で盗撮をするというようなことは処罰することができなかった。被害者が泣き寝入りを強いられている現状であった

徐々に広がる「取り締まりの対象となる場所」

犯罪の要件が地域ごとに異なり、一定の処罰規定がない現状で、条例の規定をめぐり、秋田県内では過去にこんな事例があった。

2019年、秋田市の中学校の教室で、臨時講師の男が小型カメラで女性教員のスカートの中を盗撮した。

当時の秋田県迷惑行為防止条例では、公共の場所や乗り物、つまり不特定多数の人が出入りする場所だけが取り締まりの対象とされていたため、人の出入りが制限されている「職場」や「学校」は該当せず、立件は見送られた。

その後、県条例は改正され、取り締まりの対象として事務所や教室、貸し切りバスなど、特定かつ多数の人が集まる場所などが追加された。一方で改正に消極的な自治体もあり、弁護士や被害者などが新しい法律の整備を求めていた。

取り締まりの対象となる場所は、条例では公共の場所や公共の乗り物などに限られるが、性的姿態等撮影罪では「人が通常衣服を身に着けている場所」と広がりが見られる。

さらに処罰は、秋田県の条例の場合、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されているが、性的姿態等撮影罪では「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」と厳しくなる。

去年の摘発数の8割が「スマホによる盗撮」

警察庁がまとめた全国の盗撮に関する摘発数は、2018年の3,926件に対し、2022年は5,737件と約1.5倍に増えている。

摘発数の8割にのぼるのが、スマートフォンによる盗撮だ。機器の普及により、至るところで盗撮行為が見られ、法改正の背景には時代の変化もある。

山内法律事務所・有働悠一弁護士:
従来の迷惑行為防止条例の不備、処罰されなかった点をカバーしたという意味では、被害者の保護にとって非常に大きな一歩になったと思う。同時に、不当に処罰範囲が拡大しないよう注視しなければいけないということはある

盗撮を処罰する新たな法律は、7月13日に施行される。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
秋田テレビ

秋田の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。