秋田県八峰町で地元の男性らが町の海水浴場を盛り上げようと新たにオープンさせた海の家を紹介します。
◆ふるさとの海水浴場を盛り上げたい
八峰町八森にある岩館海水浴場。海水浴シーズンは数万人が訪れにぎわいを見せていましたが、コロナ禍で客足が激減。訪れる人の数は1万人を割り込むまでに落ち込みました。
こうした中、海のレジャーシーズンを迎える7月中旬。海水浴場そばに新たな海の家がオープンしました。
『BAHAMA KITCHEN 八峰町』です。
主に店を切り盛りしているのは、町出身の川村太志さん(42)。川村さんは大学進学をきっかけにふるさとを離れましたが、10年ほど前にUターンし、家業の農業を継ぎました。
久しぶりの地元での暮らし。その中で川村さんが目についたのは、ふるさとの景色の変化でした。
川村太志さん:
「Uターンで帰ってきて、僕が小さいときに遊んでいたイメージよりずいぶん人が、海水浴客とかが減ったなというのを見て、やれることはないかなと」
そこで川村さんは、町に人を呼び込もうと、海岸を拠点に様々なイベントを企画します。しかし…。
川村 太志さん:
「そのときどき人が来ても、やっぱりなかなかここの海水浴場に遊びに来る人たちが増えるかというと、それはあまり感じられなかった。仲間と話していたのは『店がなくなったから人が来なくなったんだよね』ということ」
◆友人に背中押され「海の家」開業へ
継続して人を呼び込むには飲食ができる店が必要。
しかし、川村さんには飲食店で働いた経験もなく、農作業も抱えていたため、なかなか踏み出せずにいました。
そんな川村さんの背中を押したのは、会社員時代に知り合った友人の大石洋彰さんでした。
大石さんは、ダンサーやDJとして活躍しながら都内で飲食店などを経営しています。川村さんとは20年来の仲で、八峰町にも何度か来たことがあります。素潜りが趣味の大石さんは、岩館の海の美しさに魅力を感じていました。
大石洋彰さん:
「すごく良いところで人も集まっていたけど、年々人がいなくなっていって寂しい。もっと盛り上げたい、地元愛があるということを川村さんから聞いていた。やっぱり時代も変わっているので、次の世代ができるアプローチをやらないと若い子たちも集まらないから、町にないものやろうとキューバサンドとかを提案した」
BAHAMA KITCHEN 八峰町で提供している「キューバサンド」は、豚肉やチーズなどをパンに挟んだサンドイッチで、東京・渋谷にある大石さんの店の看板メニューです。
大石さんは開業をためらっていた川村さんに、自身の店の2号店を八峰町で開店することを提案し、料理のレシピも提供したのです。
◆海の家は“通過点” 次の仕掛けを模索
海の家は、ことし4月から地元関係者などと協力して空き店舗を改装し、南国の雰囲気が感じられる内装に仕上げました。
人気メニューは「キューバサンド」のうちの1つ「ジャークチキンサンド」。甘辛く味付けをした鶏肉がポイントです。
注文した海水浴客は「めっちゃうまい。肉肉しくてちょっとスパイシーで。泳いだ後に塩分が欲しいのでちょうどいい」と話していました。
また、ドリンクは「ピニャコラーダ」がおすすめ。ココナッツミルクにパイナップルジュースを加え、爽やかな甘みが味わえる一品です。
周囲の協力もあってオープンさせることができた新たな形の海の家。地元住民を中心に利用客も増えてきているといいます。
ただ、川村さんは「ここは通過点だ」としてその先のことを見据えていました。
川村太志さん:
「まだ全然完成していなくて、やりたいことはまだいっぱいある。大きな目標でいうと、ここの海水浴場自体を盛り上げたいというのはあるので、この海の家だけじゃなくて考えている仕掛けとかはある。ここを目がけて遊びに来てくれる人を1人でも増やしたいと思っている」
海の家は8月末まで営業する予定で、予約があれば夜の営業も行っているということです。
地元の海水浴場を盛り上げるため、どのように活動を展開していくのか。川村さんの今後の活躍に注目です。