円相場が1ドル140円台半ばまで大幅に値上がりし、約1カ月ぶりの円高ドル安水準となった。

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東京外国為替市場では、アメリカ国内のインフレが鈍化するとの観測などから、アメリカの長期金利が低下したことを受け、円を買ってドルを売る動きが強まった。

投資家の間では、日米の金利差が縮小するとの見方が広がり、円相場は1ドル140円台半ばまで上昇し、約1カ月ぶりの円高ドル安水準となった。

7月下旬に開かれる日銀の金融政策決定会合で、金融緩和策の修正に動くのではとの警戒感もあり、円買いにつながったとみられている。

11日の円相場は、1ドル140円70銭~71銭、1ユーロ154円65銭~66銭の値で取引されている。

ドルの魅力薄れドル売り・円買いへ

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
為替が今度は円高に振れています。どうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
為替の動きは日本と米国の金利差で決まります。日本が金融緩和を続ける一方、米国が利上げに動いているため、その利回りに引き寄せられて円を売ってドルを買う“円安ドル高”が続いていました。

それが一転して、ここ5日間で4円も円高に動いてます。いま、米国と日本国内、それぞれの要因が互いに影響し合って、円が買われているのです。

具体的には、マーケットは先読みして動くため、この先、米国と日本で控えている金融政策の会合で示される判断を予想して、いったん、円高に推移していると言えます。

堤 礼実 キャスター:
アメリカの要因とは、どういうことなんでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
米国の金利がここ数日で、ぐっと下がっています。

10年債の利回りが、4%台から3.9%に低下するなど、金利面でドルの魅力が少し薄れたことが、ドル売り・円買いにつながっています。

そもそも、インフレ退治のための利上げだったため、7月12日に発表されるCPI、消費者物価指数で物価の落ち着きが示されると、FRBはあと2回利上げをやると言っているが、果たしてできるだろうか、という疑問が生まれます。

7月26日のFOMCで、もし、利上げのピッチを緩めることになれば、金利上昇は止まり、ドル売りになるだろう、と先回りした動きになっています。

「政策変更」先回りの荒い値動きに注目

堤 礼実 キャスター:
もう一方の日本側の要因については、いかがですか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
今回の140円台までの急速な円高は、国内の要因が大きいでしょう。しかも、思惑による動きです。

7月27日・28日に、日銀の金融政策決定会合が開かれます。そこで、金融緩和からの政策変更があるのではないかと、こちらも先回りしているわけです。

ただ、日本銀行は現時点で、金利の修正などに踏み切る考えを示していませんし、事前にアナウンスすることもしません。

それにしても、今回の市場の先読・修正観測は先走りすぎていて、日銀に催促しているような、少し、行き過ぎている値動きになっていると思います。

この先、日銀の金融政策決定会合までは、為替は上下の値動きが荒くなるかもしれません。

堤 礼実 キャスター:
為替の動きを注視していく一方、その背景についても考えていく必要がありそうです。

(「Live News α」7月11日放送分より)

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