秋田県内で水素の製造を目指そうと企業連合が設立された。全国屈指の風力発電の導入量を誇る秋田で、水素の供給網を確立したい考えだ。

再生エネ由来の“水素”製造でグリーン社会へ

設立された企業連合は「あきた次世代エネルギーコンソーシアム」。風力発電事業者や自動車販売会社など、秋田県の内外39社で構成される。風力発電など再生可能エネルギーで生み出された電力を使って、二酸化炭素を出さずに水素をつくることを目指している。

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秋田大学理工学部教授 あきた次世代エネルギーコンソーシアム・浜岡秀勝会長:
秋田は非常に良い風が吹いている。良い風を基に産業を育成し、地域の動きをつくって、最終的に地元の人がより良い暮らしができるようにしていく

コンソーシアムは今後、風力で発電させる際に余った電力で水素をつくる実証事業に取り組むほか、二酸化炭素を排出しない「グリーン水素」にどれだけの需要が見込めるかなどを調べる。

発起人の1人 ウェンティ・ジャパン 佐藤裕之社長:
秋田の洋上風力を中心とした再生可能エネルギーを活用したグリーンな社会。このモデルを日本の中で先駆けて、秋田はつくれるのではないかと自信を持っている

燃やしてもCO2を排出しない次世代エネルギー

武田哲哉キャスター:
水素を製造する上で鍵を握るのが、秋田が全国トップクラスの導入量を誇る風力発電。そもそも水素はどのような特徴があるのか

高橋朋弘記者:
水素は、地球上で最も軽い気体で、燃やしても二酸化炭素を排出しない次世代エネルギーとして注目されている。また、蓄電池とは違い、長い間大量にエネルギーを保存できるという特徴がある。水素はさまざまな種類があり、化石燃料を燃やしてつくられた「グレー水素」。そして、今回コンソーシアムが目指す「グリーン水素」は、風力発電など再生可能エネルギーでつくった水素をいう

佐藤愛純キャスター:
全国的には水素は普及しているのか

高橋朋弘記者:
ガソリンスタンドは全国に約2万9,000カ所あるのに対し、水素ステーションは約180カ所あるが、秋田にはまだ水素ステーションはない。ただ、現在の水素ステーションは、ほとんどが「グレー水素」で、秋田では「グリーン水素」での普及を目指している

グリーン水素の普及で県民の生活が大きく変わる?

武田哲哉キャスター:
コンソーシアムでは「余剰電力」で水素をつくる構想だが、これまで風力発電で電力が余ることがあったのか

高橋朋弘記者:
あった。そもそも風力発電は、天候や風の状況で発電量が左右される。また電力は、私たち使う側の需要と、発電事業者側の供給のバランスが崩れると、大規模な停電につながる恐れがある。こうしたことから、風車を回してたくさんの電力をつくれるのに、風車を止めざるを得なかった状況があった。東北電力ネットワークは、需要が少ない時に発電事業者に一時的に発電の停止を求めている

風力発電会社の佐藤社長は、この出力抑制について次のように話していた。

ウェンティ・ジャパン・佐藤裕之社長:
去年、ことしにかけて、東北電力管内でも「出力抑制」、電力が余りますよという事態が発生していて、その電力はかなりの規模になる。黙っていれば電力を捨ててしまうもったいない状況になるが、これをなんとか利活用してグリーンな社会を構築していく。そういった意味では、この余剰電力が発生していることは、秋田にとってはプラスかもしれない

高橋朋弘記者:
どういうことかというと、風力発電で発電した電力を東北電力に売電する。つまり、送電線に乗せて首都圏に送ることとは別に、電力が余ったら水を電気分解して水素をつくり、水素ステーションなどで水素を供給し、秋田が恩恵を受けられるようにしようと考えている。現在、秋田県沖では洋上風力発電の動きが活発化している。再生可能エネルギーの先進地である秋田からグリーン水素の普及が始まれば、われわれ県民の暮らしが大きく変わるかもしれない

(秋田テレビ)

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