長野市信更町で「ほたるマーケット」が開かれた。この年に一度のイベントを盛り上げたのは、2023年度で閉校する小学校の児童たちだ。信更小で過ごす「最後の夏」。全校児童14人は「地域と歩む忘れられない1年」を目指している。
世界一のほたる祭りに
ホタルが飛び交う長野市信更町の田野口地区。ホタルが舞う夜にみんなで集まろうと開かれているのが、年に一度の「ほたるマーケット」。
イベントは明るいうちから始まり、会場の信更小学校にはキッチンカーが出た他、体育館では、おやきなどが販売され、にぎわった。

市内から:
「ホタル見られるから」って教えてもらっておじゃましました
信更町内から:
なかなかこういう小さなところは集まる機会がなかったんですけど、やっと皆さん集まってもらって楽しいと思う
今年のイベントに特別な思いを寄せていた子どもたちがいた。会場となった信更小の全校児童14人。
6年生・唐木結愛さん:
私たちが関わるのが最後だから、今までより一番いい、世界一のほたる祭りにしたい
信更小は今年度で閉校することが決まっている。イベントに「信更小の児童」として参加するのはこの日が最後だ。

今年度で閉校に
信更小学校は2016年、児童数の減少を受け、信田小と更府小を統合して発足した。
しかし、その後も減少に歯止めはかからず、信更中学校は一足早く、この春閉校し、いよいよ小学校も。
6年生は篠ノ井西中に進み、他の児童は近くの3つの小学校の中から選び、通学することになっている。

全校児童14人が盛り上げ役に
6月7日―。
イベント開催まで2週間ほどとなったこの日、小学校では話し合いが行われていた。
安藤光輝教諭:
ほたる祭りが始まるよっていう、オープニングはみんなの担当になっています
最後の思い出にと、主催者側から打診がありオープニングを飾るダンスと「学校見学ツアー」が児童に任せられたのだ。

ダンスを考えることになった6年生。SNSで流行中のダンスをチェックしながら、低学年の子も踊れる振り付けを固めていった。
一方、他の児童は「学校見学ツアー」で出題するクイズを考えることに。
2年生・柳沢みちるさん:
(何数えているの?)時計の数!(何個あった?)23個!「学校の全部の時計はいくつでしょう」(というクイズ)

ただ一人の1年生、柳沢丈さんは―。
1年生・柳沢丈さん:
できたよ
先生:
見せてー
1年生・柳沢丈さん:
(クイズは)校長先生は何人いるでしょう
先生:
校長室の写真の校長先生は、何人いるかってこと?
1年生・柳沢丈さん:
そうそう
先生:
校長室見たらわかるもんね、とってもいい問題でした

児童が企画「学校見学ツアー」が好評
6月24日、迎えた本番当日―。
コロナの感染も落ち着き、来場者は2022年の倍以上、およそ600人に上りました。児童たちも気合を入れる。
児童たち:
世界一のほたる祭りにするぞ!おー

6年生・唐木結愛さん:
これからダンスをします。ダンスは子どもたちみんなで盛り上げます。全員で楽しんでください
児童14人がダンスを披露―。
来場者:
本当にかわいくて、久々にかわいい踊りを見せてもらいました
来場者:
人数が少ないのにみんなまとまって、すごくよくやっていると思う
唐木さんの父親:
いつこんなに練習したんだろうってびっくりしました。最後だからとしんみりするんじゃなくて、いい思い出として閉校が子どもたちの頭の中に残ってくれればいいなと思います

6年生・唐木結愛さん:
めっちゃ完璧。簡単なダンスとかは1、2年にして、それでもみんな楽しく踊れるようにたくさん工夫した。みんなも笑顔になってくれたから、成功したと思いました
児童:
出発、信更ー!
「学校見学ツアー」も始まった。
参加者は児童が考えたクイズを解きながら、校内を回る。
ツアーガイドは児童たちだ。

児童:
ここは図書室です、本を借りる所です。読み聞かせをしてくれます。中にも入れるので入ってください
卒業生・宮尾春香さん:
もっと広いと思っていたんですけど今、来るとそうでもない
懐かしそうに図書館を眺める宮尾春香さん(35)。統合する前の信田小の卒業生だ。今年度で閉校と聞いてツアーに参加した。
卒業生・宮尾春香さん:
この木琴、使った覚えある。音楽好きだったので、音楽室すごく懐かしいなと思って、よく校歌の練習とかしていたなって。懐かしさと新しい発見もありで、すごく新鮮な気持ちになりました。なくなっちゃうの寂しいですけど

案内をした児童は―。
4年生・庭山翠惺さん:
案内するの楽しかった。自分もうれしい気持ちになった
「ツアー」も好評のうちに終了した。
メインイベント「ホタル鑑賞会」
やがて日が沈み夜7時を過ぎると―。
来場者:
わーすごい。わー、そっちにいっぱいいた

小学校から歩いて10分ほどの田んぼ脇で、メインイベント「ホタル鑑賞会」が始まった。
この日、舞ったホタルは600匹ほど。時代は移り変わってもこの光景は昔と同じ。多くの人を和ませてくれた。
子ども:
かわいい、ホタルさん
子ども:
おしりのところから、いっぱい光っているからきれい

参加者:
幻想的で、ふわふわって感じがすごくきれいで、日頃の疲れが癒やされました
大役を果たした小学校の児童も見に来ていた。
6年生・小林栗守さん:
優しい光でゆっくり飛ぶのが、いいなって思った

「忘れられない一日」
信更小で過ごす最後の夏。
大盛況に終わったイベントに、優しいホタルの光も加わり、児童にとって忘れられない一日になったようだ。
6年生・小林栗守くん:
大勢の人に、みんながステージに立っているところを見てもらえるのは、いい体験。みんな地域の人と仲がいいと思いました。みんな楽しそうだし、その人たちに感謝したいと思います

(長野放送)