長野県松本市の老舗割烹(かっぽう)が新たな取り組みを始めた。それは、国の「有形登録文化財」でもある大広間でのカフェ営業。花や鳥などの色鮮やかな天井画が106枚、広さ99畳のぜいたくな空間で優雅な時間を過ごすことができる。

「鳳凰の間」天井画106枚 広さ99畳

老舗料亭「割烹 松本館」。長い廊下を歩いて別棟へ。

その2階にあるのが、「鳳凰の間」。

その名の通り、天井には大きな「鳳凰」。

そして、花や鳥などの色鮮やかな天井画が106枚。広さ99畳のぜいたくな空間だ。

花や鳥などの天井画106枚
花や鳥などの天井画106枚
この記事の画像(7枚)

大広間で「カフェ営業」

この大広間で春から「カフェ営業」が始まった。

名付けて「館カフェ」。

これまで披露宴や宴会などの予約のみの利用だったが、気軽に訪れてお茶や和菓子が味わえる。

松本市内から:
幸せです。おいしいですし、すてきな場所でカフェができるので

韓国からの留学生:
結構きれいで、入ってもいいのかなって気がするくらい

大広間でカフェ営業
大広間でカフェ営業

花や鳥、鶴が舞う

1890年・明治23年に創業した「松本館」。鳳凰の間は1935年・昭和10年にできた。設計・監修は松本市出身の彫刻家・太田南海。2004年に国の「有形登録文化財」になった。

割烹 松本館 4代目女将・宮澤裕佳理さん:
よくご覧いただくと、おめでたいもの尽くしにできています

一段上がった「折り上げ格天井」には、花や鳥。

「折り上げ格天井」には、花や鳥
「折り上げ格天井」には、花や鳥

その周りの「蛇腹」という部分は鶴が舞っている。

正面の床柱にはー。

割烹 松本館 4代目女将・宮澤裕佳理さん:
左の太い柱は西王母伝説を彫ったもので、西王母の持っている桃の実を食べると長生きをするという話からきています。ですから「延命長寿」の柱。右は鯉の滝登りの図になります。こちらは「立身出世」

「蛇腹」という部分は鶴が舞っている
「蛇腹」という部分は鶴が舞っている

大広間の魅力を再認識

今回のカフェ営業、あるきっかけで始まった。

それは建築とアートを融合させたイベント「マツモト建築芸術祭」。

2022年、2023年と大広間で作品を展示をしたところー。

割烹 松本館 4代目女将・宮澤裕佳理さん:
すごく建物について興味がある方がたくさんいらっしゃって、私たちからすると前の時代のものという捉え方もあったんですけど、今の人から見ると、とても新しかったり、刺激的なものだったりするんだなって

割烹 松本館 4代目女将・宮澤裕佳理さん
割烹 松本館 4代目女将・宮澤裕佳理さん

大広間の魅力を再認識した宮沢さん。

コロナ禍で宴会や披露宴の利用が減ったこともありカフェ営業を始めた。

板前が腕を振るう和菓子

提供されるのは懐石料理のデザートとして板前が腕を振るう和菓子など。

(記者リポート)
名物のわらびもちをいただきます。口の中ですっと溶けるようにやわらかで、甘みも上品です。なにより、こうした広間で食べられるのが、とても豊かな気持ちになります

「季節のわらびもち」税込650円 「抹茶」税込600円 ※組み合わせると100円引き
「季節のわらびもち」税込650円 「抹茶」税込600円 ※組み合わせると100円引き

歴史ある空間で優雅なひと時を

当初、来店は観光客などを想定していたが、多くが地元の客だった。

割烹 松本館 4代目女将・宮澤裕佳理さん:
新しくカフェに参入して大丈夫かなって感じでしたけど、この空間を楽しんでいただきながら、和、ならではの食べ物や飲み物を楽しんでいただくということで、ちょっと違う楽しみ方をしていただけるんじゃないかな

営業は週2、3回の不定期。歴史ある空間で優雅なひと時を過ごしてはいかがだろうか。

(長野放送)

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。