インドネシアを訪問した天皇皇后両陛下。外国への公式訪問は即位後初めてで、皇后さまにとって約20年ぶり。

外国ならではの交流のとっておきのエピソードをフジテレビ社会部の宮内庁キャップが伝える。

陛下が皇后さまに目線を送られ…両陛下の心通う交流

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
陛下は6月21日夕方、古都ジョグジャカルタに到着されました。ジャカルタのホテルに残られた皇后さまとは2日間、別日程なんです。皇后さまが体調を整える日を設けるなど、負担に配慮した日程が組まれました。

皇后さまが体調を整える日を設けるなど、負担に配慮した日程が組まれた
皇后さまが体調を整える日を設けるなど、負担に配慮した日程が組まれた
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9日にご結婚30年を迎えられた両陛下ですが、これまでの主な外国訪問を振り返ってみますと、1994年と95年にオマーンやクウェートなど中東が2回、2002年にオーストラリア・ニュージーランドに行かれてからは、その後、皇后さまが適応障害と診断され、両陛下そろっての公式訪問は30年のうち今回で4回目になります。

外国への公式訪問は即位後初めて。両陛下そろっての公式訪問は、30年のうち今回で4回目となる
外国への公式訪問は即位後初めて。両陛下そろっての公式訪問は、30年のうち今回で4回目となる

オセアニアへの訪問後に療養され、20年以上の月日が経ちました。療養にはいられて以降、体調に予期せぬ波があるため、国内の訪問も1泊2日に収められています。そんな中で今回、外国に1週間行かれて体調をキープし、国賓としての公式行事に出られるかという不安に加えて、インドネシアの厳しい暑さと湿度、外気温と室温の温度差もありました。

「皇后さまが出席される行事を最小限に絞る形で、とにかくお二人揃って、天皇皇后として外国訪問を実現することが最優先」だと、ある幹部は話していました。

榎並大二郎キャスター:
今回の訪問中、お二人ご一緒だからこその心通う交流の場面がいくつもありましたよね。

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
はい。まずは20日に訪れた大学で、日本語を学ぶ大学4年生との会話をお聞きください。

日本語を学ぶダルマ・プルサダ大学を訪問。陛下が学生に「大変でしょう、卒業論文は」と声をかけられると
日本語を学ぶダルマ・プルサダ大学を訪問。陛下が学生に「大変でしょう、卒業論文は」と声をかけられると

陛下:
大変でしょう、卒業論文は。

大学4年生 メリーさん:
いえいえ、大変ですが、やるべきことですので。卒業のために、はい。

愛子さまの話題に。皇后さまに目線を送られた陛下
愛子さまの話題に。皇后さまに目線を送られた陛下

陛下:
うちの娘の愛子がちょうど今、卒業論文をね。

相づちを打たれる皇后さま
相づちを打たれる皇后さま

皇后さま:
そう、これから。4年生ですから。頑張ってくださいね。

大学4年生 メリーさん:
頑張ります。ありがとうございます。

共感しながら会話を広げられる両陛下
共感しながら会話を広げられる両陛下

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
陛下は、皇后さまに目線を送ってから愛子さまの卒論の話題に触れられ、皇后さまも「そうそう」と相づちを打たれていますよね。お二人が、共感しながら会話を広げられていることがわかります。

榎並大二郎キャスター:
皇后さまもすごく楽しそうに話を聞いていらっしゃいましたね。

陛下のユーモア 元JKT48メンバーの答えに笑顔

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
カメラ撮影が終わった後、日本の人気アニメ「NARUTO -ナルト-」が好きだと話す学生に対し、陛下が「私は徳仁(ナルヒト)です」とユーモアで返される場面もありました。隣の皇后さまも学生たちも皆、大笑いされていて。すると、陛下は慌てて「いや、関係は…ないんです」と笑顔で説明されていたそうなんです。 実は、陛下はジョークがお好きなんですよね。

日本の人気アニメが好きだと話す学生にユーモアで返される場面も。皇后さまも学生たちも大笑いだったそう
日本の人気アニメが好きだと話す学生にユーモアで返される場面も。皇后さまも学生たちも大笑いだったそう

2019年8月、栃木県の那須塩原駅前で「汗、大丈夫ですか?」と心配する声に、陛下がポケットからハンカチを取り出し、「大丈夫、持ってます。ハンカチ王子ですから」と応じられ、大きな笑い声があがった。

駅に集まった人から「汗、大丈夫ですか?」と心配され、ポケットから取り出したハンカチで汗を拭う陛下
駅に集まった人から「汗、大丈夫ですか?」と心配され、ポケットから取り出したハンカチで汗を拭う陛下

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
皇后さまも愛子さまも、笑っていらっしゃいます。

榎並大二郎キャスター:
あの斎藤佑樹さんの代名詞「ハンカチ王子」ですか!

20日夜、日本人を招いたレセプションにて
20日夜、日本人を招いたレセプションにて

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
場を和ませるこうしたジョークは公務でも、皇后さまや交流相手の緊張を和らげているように思います。また、20日夜の日本人を招いたレセプションでは、AKB48からジャカルタのJKT48に移籍した元メンバーで、今はタレントとして現地で活躍している仲川遥香さんともこんな珍しいやり取りがありました。

陛下:
昨日、JKTの方にお会いしました。

皇后さま:
どういう経緯で(JKTに)移籍されたんですか?

タレントとして現地で活躍する仲川さん
タレントとして現地で活躍する仲川さん

元JKT48 仲川遥香さん:
すごく楽しそうな国だなと思って、勢いで来てしまったのが最初なんですけど…。

仲川さんの答えに両陛下は少し驚いた表情で、楽しそうな笑顔を見せられた
仲川さんの答えに両陛下は少し驚いた表情で、楽しそうな笑顔を見せられた

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
ここでも前日の交流をお互いに確認されていますよね。勢いでジャカルタに来たという話に、お二人でとても楽しそうに笑っていらっしゃいました。

榎並大二郎キャスター:
両陛下はAKBやJKTという、ポップカルチャーの話題もされるんですね。

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
そうですね。やはり大学生の愛子さまを通して、トレンドなどにも触れられているのではないかと感じました。この20年、お一人で親善訪問を重ねてこられた陛下は、訪問前の記者会見で「今回は二人で行くことになったことを、私も大変うれしく思っております」と笑顔を見せられました。

会見でのカメラ撮影後、宮崎記者が質問
会見でのカメラ撮影後、宮崎記者が質問

実は、会見でのカメラ撮影が終わった後、お一人とお二人での訪問の違いについて伺ってみました。すると、結婚後初めての外国訪問となった94年の中東の旅を振り返られ、男女別の行事があったそうで、お互いに情報交換ができましたと。

お二人で訪問することの意義を話されていた
お二人で訪問することの意義を話されていた

「それぞれの視点というものを総合して、そして、二人でいろいろと話をして、インドネシアに対する理解をより深めていくことができれば」と、うれしそうにお二人で訪問することの意義を話されていました。

伝統文化を体験した皇后さま 陛下のサポート

両陛下がよく話をし、情報の共有や相談をされていることは19日、ボゴール宮殿でも見受けられた。

陛下とジョコ大統領が面会中、皇后さまは夫人の案内でインドネシアの伝統文化を体験
陛下とジョコ大統領が面会中、皇后さまは夫人の案内でインドネシアの伝統文化を体験

これは陛下とジョコ大統領が面会中、皇后さまが夫人の案内でインドネシアの伝統文化を体験された際のやりとり。

皇后さま:
着せていただけるんですか?わーすごい。

「わーすごい」伝統的な染め物のバティックを身にまとう皇后さま
「わーすごい」伝統的な染め物のバティックを身にまとう皇后さま
貴重な体験に満面の笑顔
貴重な体験に満面の笑顔

宮崎千歳 宮内庁キャップ:
伝統的な染め物のバティックを身にまとい、カメラの方を見て満面の笑顔を見せられました。その後すぐ、陛下にご自身の体験を伝えられたようで、こうして陛下と共に職人たちのもとに戻ってくると、陛下は「ちょっと参加させていただいて」とお礼を伝えられました。陛下がいつでも皇后さまをサポートされていることが感じられた場面でした。

職人たちに「ちょっと参加させていただいて」とお礼を伝えられた陛下
職人たちに「ちょっと参加させていただいて」とお礼を伝えられた陛下

出発前にある側近は、「インドネシア訪問が成功すると、特に皇后さまにとって自信になる」と話していました。得意分野や体調に合わせて、部分的に別行動されるというのもお二人のスタイルで、「それぞれの分野を合わせたら良い効果が生まれる」とも話していました。

今回、全てではないですが、皇后さまは想定されていた以上の行事に出席されました。陛下がずっとタイミングを待ってこられたことが功を奏したのではないかと思います。即位から5年たち、ようやく始まった令和の国際親善の旅が、お二人らしい形で続いていくとよいなと思います。

(「イット!」6月21日放送)

イット!
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フジテレビ報道局が制作する夕方のニュース番組。毎週・月曜〜金曜日午後3時45分より放送中。榎並大二郎と宮司愛海が最新ニュースを丁寧にお伝えします。

社会部
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