無資格で脱毛を行い、女性客にやけどをさせた疑いで美容サロンの代表の女ら2人が書類送検された。増加する脱毛トラブルの実態、そして、トラブルに遭わないために知っておくべきことについて、消費者問題に詳しい弁護士の浅野永希さんに話を聞いた。

脱毛には2種類 医師免許が必要なものも

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美容サロン「BeSonder (ベゾンダァ)」の経営者の女らは去年8月、医師免許を持たずにAさんに対し脱毛機器を使用して医療行為を行い、やけどを負わせた疑いがもたれている。

調べに対し、経営者の女は「資格が必要だとは知らなかった」と話している。

今回の事案では、医師免許を持たずに医療行為にあたる脱毛を行ったことが問題なのだが、一言で「脱毛」と言っても種類がある。

脱毛には「医療脱毛」と「エステ脱毛」の2種類ある。

「医療脱毛」は、レーザーなどを細胞に当て、毛根を破壊する脱毛方法だ。脱毛効果は継続的だが、この施術を行うには医師免許が必要だということだ。

対して「エステ脱毛」は、細胞を破壊しない程度の光を当て、毛の成長を“一時的に抑制”する脱毛方法だ。医師免許の必要はない。

今回は、エステ脱毛の店がエステ脱毛用の機械を使って施術したが、機器の使い方を誤って、毛根などを傷つけてしまった行為が医療行為に当たったという事案だ。

Q:このような事案はよくあるのか?

浅野永希弁護士:
レアなケースだと思います。業者が機械の操作を誤った事例の様ですが、利用者の体に強い影響を与える機械を使用する場合は慎重であるべきです

Q:医療脱毛とエステ脱毛の違いがわからないまま受けてしまったこともあるのか。

浅野永希弁護士:
広告の実態を見れば(そういうことは)あり得ると思います。曖昧な表記ではありますが、広告が適正かどうかは、一般の消費者の目線で判断すべきだと思います。「(エステ脱毛でも)永久の効果を伴う」と誤認させる広告のあり方が問題視されるべきだと

脱毛は若者だけじゃない!注目される「介護脱毛」

脱毛トラブルと聞くと、若者が巻き込まれるものかと思ってしまうが、脱毛は中高年にもニーズがある。

若者以外にも人気の脱毛が「介護脱毛」。老後の介護を考え、介護者の負担を減らすため、あらかじめデリケートゾーンを脱毛する。

医療脱毛を行う大手クリニック・リゼクリニックによると、40代から50代で、「介護脱毛」をしたい人の割合は、男女ともに年々増加傾向にあるそうだ。

トラブルはどんなケース?巻き込まれないポイントは?

浅野さんには次のような相談が寄せられているということだ。

▼10回コースの4回目の施術なのに、途中でエステサロンが倒産してしまった
▼「5年間通い放題」という話で契約したのにフタを開けるとサービスが違った

脱毛トラブルに巻き込まれないために覚えてほしい、「立ち止まるポイント」があるす。それは、「広告」を見た段階と、「契約」をする段階だ。

まず広告を見た段階についてだが、脱毛するためにエステサロンを検索する時、「他社比較で安い!」「半年で完了!効果続きます」「きょうまで!」といった広告を目にすることがある。

浅野永希弁護士:
一般的に脱毛は機器の性能が昔よりも上がっているので、比較的安価にサービスを提供できると思います。ただ他社と比較して安いというのは、経営に無理が生じている場合があり、倒産してしまう可能性があると思います。「どこよりも」「他社と比較して」と説明のつかない言い方で安さを強調する場合は問題視していいと思います

続いて契約の時に立ち止まるポイントについてです。

契約の話になった時、「お金がないのでこんな高額な料金を払えない」となった場合に、エステスタッフから「大丈夫!エステサロンにローンがあります。収入欄は適当に多めに書いといてください」と言われたら、立ち止まるポイントだ。

浅野永希弁護士:
「契約はしないから帰りたい」と言っても帰らせないケースはありました。現在は退去の妨害という違法行為になります。そのような業者は強引にでも帰るべきです

安心できる脱毛エステサロンを見極めるためには「質問を躊躇しないこと」が重要。

「施術内容は?」「料金基準は?」「途中で契約解除できる?」「返金は?」など、疑問に思ったことや、聞きたいことを躊躇せずにぶつけることが大切だ。

Q:もし巻き込まれたらどうすればいいか?
浅野永希弁護士:
おすすめしたいのは、近くの消費者センターに相談することです。脱毛エステは、比較的特殊な、特定商取引法という法律が規制をかけています。相談員はそのような法律に特化した訓練を受けて深い知見を持っているので、安心して相談いただければと。「消費者ホットライン」の「188(いやや)」に電話していただくと、近くの消費者センターがどこかなどの案内もできますので非常に便利です

脱毛トラブルに巻き込まれないよう、ポイントで立ち止まって、十分に注意を払ってほしい。

(2023年6月21日 関西テレビ「newsランナー」放送)

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