スルメイカの不漁が続く函館市近海で、なぜかサバが豊漁に。

10年前と比べると、漁獲量はなんと90倍!

サバを新たな主力商品にしていこうという動きが広がっている。

スルメイカが記録的な不漁

函館市といえばスルメイカが有名だが、10年近くにわたり記録的な不漁が続いている。

撮影:2023年6月
撮影:2023年6月
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しかし、スルメイカに代わり豊漁となっているのがサバだ。

「イカに代わるサバで消費拡大になればいいなと」(南かやべ漁協 木直支所 大住 直樹 支所長)

「海洋変化があって、今後の海は全く未知数。環境変化に適応できる我々でいたい」(合同会社EGAO 川﨑 良平 さん)

サバが“豊漁” 10年前比漁獲量は90倍に

10年前と比べるとサバの漁獲量は90倍に増え、海の変化に対応する動きが広がってきた。

「サバが大量に取れるようになり本当に助かる」(大住さん)

北海道のサバの漁獲量は、2011年は310トンで全国28位だった。

それが10年間で約90倍の2万9千トンに増え、全国で5位に上昇。

全体の8割が函館など北海道南部で取れている。

一方、スルメイカは2023年、函館での取扱量が8月までで130トンと、統計開始以来最も少なくなっている。

「イカはもう高級になっているので、サバを何とか水揚げしたい」(大住さん)

サバが新たな主力商品に?

函館市内のこの水産加工会社では、イカの塩辛やいかめしなどの販売が中心だったが、サバの加工品が新たに加わったという。

「ここ数年はサバ。何か別なものを使えないかなということで」(野村水産 野村 譲 社長)

加工品のラインアップに加わったのは「サバのみそ煮」。

電子レンジで3分間温めるだけで食べられる手軽さが人気のようだ。

「サバが取れているうちに何とか活かして、皆さんに食べてもらいたい」(野村 社長)

小ぶりなサバも活用 フードロス削減へ

サバの商品化の動きはほかでも。

「かなり広い客層に受け入れてもらっているように感じる」(合同会社EGAO 川﨑 良平 さん)

函館市内の海産物店や漁師らが共同で開発したのは、常温で180日間の長期保存が可能な商品。

フードロスの削減につなげようと、市場に出回りづらい20センチ未満の小ぶりなサバを選んだ。

どのように作られているのか、作業場をのぞいてみた。

「鮮度が一番大事。内臓が入っているのできれいに洗う」(福田海産 福田 久美子 社長)

頭や内臓などを丁寧に取り除いたあと、函館産の昆布などで作った出汁に半日漬け込む。

身がふっくらしてとれたてのような新鮮さだ。函館産の昆布などの出汁で漬けているので奥深い味に。

小さいサイズで骨も食べられるように加工しているため、子どもからお年寄りまで好評で、2023年6月の発売から約1000個が売れたという。

「サバはとれているけれども、小さなサバはリリース、もしくは廃棄されてしまうことに対して、商品化はフードロスの観点からも極めて有効」(川﨑さん)

「海の幸を大事にしなくてはならない。資源だから、捨てたり食べなかったりするのは本当にもったいない。だからそれをなんとかしてみなさんの口に運びたい」(福田 社長)

今ある自然の恵みを最大限に活用していく。

函館でサバが新たな主力商品となるか、期待が高まっている。

北海道文化放送
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