火事で全焼も…「炉端焼き」発祥の店が復活

釧路名物「炉端焼き」の発祥といわれ、2022年8月火事で全焼したお店が、9月13日、1年1か月ぶりに営業を再開した。

いろりでじっくりと焼かれる魚や野菜。

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客が周りを囲み、食事や会話を楽しんでいる。

釧路で70年以上続く老舗「炉ばた」。

観光客や地元客が集う人気店である。

「再開してやっぱりうれしい。おいしいということで有名だから予約してきた」(訪れた客)

しかし、2022年8月、店はある危機に追い込まれた。

隣の飲食店から出火して店が火事に。建物はほぼ全焼し休業に追い込まれた。

20年間、焼き手を務め「炉ばたのおばあちゃん」の愛称で親しまれてきた中島静子さん(87)は廃業を考えたという。

「全部何もなくなってしまったので。店はやれるものと思っていなかった」(炉ばた 中島 静子さん)

「おばあちゃんの力に」孫が再建を決意

70年以上続いた「炉ばた」の歴史に幕を下ろすのか…。

そこで立ち上がったのが静子さんの孫の実亜さん(31)だった。

小さな頃から「炉ばた」で過ごすことが多く、実亜さんにとっても思い出が詰まった店だった。

大学卒業後は別の仕事をしていたが、落ち込んでいる祖母の姿を見て店の再建を決意した。

「祖母がずっと携わってきたこの大切なお店がなくなったとき、祖母は落ち込んで涙を流していた。大切な釧路の炉端焼き食文化をこれからも続けたい」(炉ばた 女将 中島 実亜さん)

クラウドファンディングで寄付金募り改修工事へ

実亜さんは建物の改修に向け3月、クラウドファンディングで支援を呼びかけた。

1カ月半で500人以上から860万円の寄付金が集まり、改修工事が進められた。

「きょうからもまたがんばろうね」と静子さんに語りかける孫の実亜さん。

そして9月13日午後5時。

「いらっしゃいませ~」

1年1か月ぶりに営業を再開した。店には再開を待ちわびていた客が次々と訪れる。

火事があっても無事だったいろりの前には静子さんが座り、絶妙な火加減で焼いていく。

「(久しぶりにお客さんを前にしてどうですか?)いい気分です」(炉ばた 中島 静子さん)

再び灯った「炉ばた」のあかり。世代を超えた二人の奮闘は続く。

北海道文化放送
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