岸田首相が推し進める「異次元の少子化対策」。政府は、その具体的な中身となる「こども未来戦略方針」を示した。子育て世代はこの方針を、現実と照らし合わせて厳しく見つめている。

異次元?少子化対策に子育て世代は…

新潟市中央区の子育て施設や新潟駅前にいる子育て世代に「こども未来戦略方針」の主なポイントを示した。

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〈1〉児童手当の拡充・所得制限の撤廃・支給期間「中学生まで」を「高校生まで」に延長・第3子以降には3万円を支給

〈2〉出産費用の保険適用導入

〈3〉両親が育休を取得した場合、育児休業給付の給付率を引き上げ

〈4〉時短勤務による賃金低下を補う給付

〈5〉選択的週休3日制度普及への取り組み

〈1〉児童手当の拡充

育休中の母親・子ども2人:
高校生まで児童手当が受け取れるのはありがたい。専門学校や大学への進学を見据えると、足しになると思う。経済的に困らない環境ならば3人目も考えたいが、高校・大学を考えると難しいと思っている

専業主婦・子ども1人:
いま、児童手当の所得制限に当てはまっているので、撤廃はありがたい

「第3子以降に月3万円が支給される」という点については、「子どもを産むきっかけにはならない」という声が聞かれた。

自営業の母親・子ども1人:
自営業なので、産休・育休の間は自分の給料が出ない。第3子以降の支給額が上がったとしても、3人の出産まで頑張ろうと思うきっかけか?というとちょっと薄い。父親側の給料も増えたほうがいいと思うし、みんなの所得が上がることのほうが大事だと思う

教育関係の仕事をする父親・子ども3人:
子どもが3人いるので、3万円の支給は個人的にはうれしいが、それで3人以上産む人が増えるかというと、ハードルが高いと思う

〈2〉出産費用の保険適用導入

自営業の母親・子ども1人:
出産費用の保険適用はいいと思う。出産一時金が増えたが、それに伴って産院の値段も上がっているようなので、それなら保険適用で一定にした方がいいのではないか

専業主婦・子ども1人:
出産したときにプラスで出すお金が結構あった。出産費用の保険適用導入はいいと思う

〈3〉両親が育休を取得した場合、育児休業給付の給付率を引き上げ

専業主婦・子ども1人:
両親が取得した場合…とあるが、まだ男性が育休を取得しにくい雰囲気があるので、まずはそこを整えてからではないか

〈4〉時短勤務による賃金低下を補う給付

時短勤務中の母親・子ども2人:
自身が時短勤務をしているので気になる。フルタイムで働いて保育園にお迎えに行くと間に合わないので、時短じゃないと働けない

〈5〉選択的週休3日制度普及への取り組み

この取り組みに関しては男性陣が注目し、現実とのかい離を指摘した。

会社員の男性:
労働人口が足りないと言っているのに、休みを増やしてどうするのか

教育関係の仕事をする男性・子ども3人:
仕事柄、週休3日は厳しいところがある。その辺りはどういう仕組みにするのだろうか

一方、財源については、多くの親が「結局は自分たちの負担となって返ってくるのでは…」と不安を口にした。

育休中の母親・子ども1人:
結局、若い方や働いている方に負担がいってしまうと思う

自営業の母親・子ども1人:
結局は社会保険料がこっそり上げられるのではないか。他にしわ寄せがいきすぎるのもどうかと思う

時短勤務中の母親・子ども2人:
高齢化も進んでいるのに、どこからお金を持ってくるのか。働いている私たちの世代が負担になってくると同じことなのではないか。子育てにお金がかかり、自分たちにも負担が増えるのなら、結局は変わらない

育休中の母親・子ども2人:
これでまた扶養から外されて、結局は損をするという意見も出ている

この対策で少子化は食い止められる?

最後に、この「異次元の少子化対策」が少子化の食い止めにつながると思うかを聞いた。

時短勤務中の母親・子ども2人:
今、結婚に意識が向かない若い人もいると思う。そういう若い人につなげるのは難しいと思う

自営業の母親・子ども1人:
若い方から子どもがほしいという声を聞かない。価値観の問題なので、少子化傾向は変わらないのではないか

育休中の母親・子ども2人:
3人目の子どもに児童手当を拡充するとあるが、3人目のハードルよりも、1人目のハードルを下げてもらうほうが、子どもが増えると思う

岸田首相は「若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と声高に訴えている。

しかし、安定的な財源が明確になっていない中、子育て真っ最中の親たちは、「異次元の少子化対策」を冷静に見ているようだ。

(NST新潟総合テレビ)

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