プラスチックごみをどのように捨てるだろうか。静岡県の県庁所在地・静岡市ではペットボトル以外は「燃えるごみ」として扱っている。理由は清掃工場に発電機能もあるためだ。しかしいま、再考する時期を迎えているという。
静岡市はプラごみを分別せず収集
この記事の画像(14枚)静岡市内を走るごみ収集車。2023年6月時点で静岡市は、家庭からでるペットボトル以外のプラスチックごみを「燃えるごみ」と分別せずに収集している。分別する必要がない理由は清掃工場にある。
葵区の沼上清掃工場。この清掃工場には月曜から土曜まで週6日、市内で回収された燃えるごみが1日約230t運び込まれる。
燃えるごみが一時貯留されるごみピットには、紙製品のほか、プラスチックの容器や包装、バケツもあった。プラごみは燃えるごみの約2割を占めている。
このあとごみは焼却炉へ。この清掃工場では、プラスチックごみを一緒に燃やすことで火力を上げ、効率よく発電している。
これまで静岡市は、発電効率や運搬コストを考えるとプラスチックごみを燃やした方がいいと考えていた。
静岡市ごみ減量推進課・萩原 竜也 さん:
集められたプラスチックや紙が、固形燃料にリサイクルするケースが多く見られました。せっかく分別しても燃料に使われてしまうのであれば、分別せずにほかのごみと合わせて発電機能を持った清掃工場で処理することが、環境面や経済面で優しく、市民の皆さんの負担軽減にもつながると判断してきました
二酸化炭素削減へ分別収集検討
分別収集してこなかった静岡市が、ここに来て検討を始めた。2022年4月に「プラスチック資源循環促進法」が施行され、プラごみを燃やすことより新たな製品として再利用することが重要視されるようになったためだ。
市民からは「大学生の時に静岡市外で生活したときに、分別するのが当たり前だと知り、分けられるのなら分けた方がいいと思う」「いまさらという感じもするが、“みんなで何とかしよう”という話」「正直面倒くさいので、反対の声は出ると思うがやるなら早い方がいい」とおおむね前向きな声が上がっていた。
分別収集の効果と課題
静岡市は「分別収集のモデルを環境面と経済面で検証したところ、環境面において“一定の効果が認められた”」としている。
2022年5月から福岡市は、プラごみを回収しリサイクルする実験を始めた。これまでの結果では、二酸化炭素の排出量は焼却した場合と比べ約3割削減できたという。
プラごみの収集をめぐっては、過去に問題もあった。2008年前、沼津市が分別収集したプラごみがしっかり分別されていないとして、日本容器包装リサイクル協会からごみの受け入れを一時拒否された。
プラごみといっても種類や状態はさまざまなため、分別にあたっては細かなルールの設定と徹底が求められる。
また、市民への負担はもちろん収集のための車や人手が必要となり、コストがかかる。
静岡市ごみ減量推進課・萩原 竜也 さん:
もし実施するとなれば、分別の方法や頻度、どんなものを分別していただくのかとか、周知の方法などさまざまなことを考えなければいけないと思います
持続可能な社会に向けて
静岡市がプラゴミの分別回収を始める具体的な日程はまだ決まっていない。今後、市民の声を聞くパブリックコメントを行い、環境面や経済面、市民への負担を総合的に判断しながら検討を進めたいとしている。
(テレビ静岡)