両陛下に「『人間失格』を読みました」

つい先ほど、日本語を学ぶインドネシアの大学生と交流をはかられた天皇皇后両陛下。

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陛下が「どんなことに興味がありますか?」と問われると、女子学生の1人は大きな声で、「私は日本の文学が好きで、太宰治の『人間失格』を英語版・日本語版で読みました」と答えた。

これに対して両陛下が「『人間失格』、なかなか難しいですね」などと応じられる場面も見られた。若い世代との交流は、両陛下が大切にされていることの一つだった。

強い日差しの中 2分間の黙とう

20日午前、「カリバタ英雄墓地」を訪問された両陛下。ここにはインドネシアの独立に貢献した兵士らが眠っていて、第2次大戦後もこの国に留まった28人の元日本兵も含まれている。

日本時間20日正午、強い日差しが照りつける中、両陛下は2分近く英霊に深い黙祷を捧げられた。

強い日差しが照りつける中、両陛下は2分近く黙とうをささげられた。
強い日差しが照りつける中、両陛下は2分近く黙とうをささげられた。

続いて、日本の国旗にあわせた白と赤の花輪を供えられた両陛下。19日、元日本兵の子孫に「心を込めて、供花をさせていただきたいと思います」と伝えられていた皇后雅子さまは、その花輪にそっと手を添えられていた。

両陛下と面会 心待ちにする学生たち

滞在4日目となった両陛下のインドネシア訪問。つい先ほど行われた“交流の機会”を心待ちにしていた人たちがいた。

首都ジャカルタにあるダルマ・プルサダ大学。日本で学んだ元留学生たちが設立したこの学校は、日本熱が高まっているインドネシアの中でも、とりわけ日本語教育が盛んだという。

そして今回、両陛下がこの大学を訪問されることになり、およそ10人の学生が日本語で挨拶を行う機会を得た。

両陛下との面会時にどのような点に気をつけるか聞いたところ、大学4年生のアルルさん(23)は、「もっと大きな声でとか、忘れる時に『えー』とか『まあ』とか言わないとか。あとは、ひげとか···ひげは後で処理します」「これを糧に誇りに満ちた人生にしたいと思っています」と答えた。

また、大学3年生のアメリアさん(21)は、「みんな準備万端で、笑顔で迎えられると思います。多分、人生に一度しかないイベントなので···」と話した。

『水がくさい』で笑いに包まれる

そして、さきほど、両陛下と念願の対面を果たした学生たち。ひげを剃ると言っていたアルルさんは、ほおがスッキリしていた。

両陛下の前でアルルさんが、「今は卒業論文を書いています。テーマは慣用句についてです。例えば『水くさい』という言葉は、私たち外国人には、『水がくさい』という意味にとれます」などと話すと、その場が笑いに包まれた。そして陛下は、アルルさんに対して「テーマが面白いですね」と語りかけられた。

日本への留学を夢見る学生たちは、長女の愛子さまと同世代。陛下はこうした若い世代との対話の機会を大切にされているという。

それは皇后さまも同じで、当初、体調を考慮し、陛下お1人での訪問が検討されていたが、急きょ同行された。

笑顔で学生たちとの交流を楽しまれた両陛下。インドネシア訪問は23日まで続く予定。

(「イット!」6月20日放送より)