球場ではなく台所で振る!?
バットがフライパンの一部に活用された商品が誕生した。それが大阪・八尾市の町工場「藤田金属株式会社」が開発したフライパンバット「SWING PAN」。フライパンの持ち手部分が野球の木製バットになっているのだ。

この持ち手部分は、スポーツメーカーのミズノ株式会社が製造する木製バットの不適合材を使用している。
木の節があると折れやすくなるため、プロ野球用などに使用できず、販売することもできないのだそう。そんな球場で振られることがなくなってしまった木製バットを、台所で振ってもらえるようにフライパンに生まれ変わらせたのだという。

木材の種類はメイプルで、耐久性に優れ、使えば使うほどに経年変化を楽しめるそう。
なお本体部分の材質は鉄で、IH・ガスなどオール熱源に対応。また、こびりつきにくく、サビにくい独自の加工方法「ハードテンパー加工」が施してあり、使いはじめの使いにくさを解消しているという。

直径サイズは26cm(税込7700円)と20cm(同6600円)の2種類。藤田金属の公式オンラインショップで6月13日から販売している。また、同社工場内にある直販ショップでは、実際に手に取ってみることもできるという。
ナイスバッティングではなくナイスクッキング!
木製バットのアップサイクル商品だが、実際の振り心地はどうなのだろうか?また、持ち手がバットになっている事のメリットは何だろうか?
藤田金属の藤田盛一郎社長に話を聞いてみた。
ーー「SWING PAN」開発の経緯を教えて。
ミズノさんが弊社に「何かご一緒出来ないか」と来社頂き、はじめは「何もできないですよ」と言っていたのですが、話していく中で木製バットの不適格材があることを聞き、フライパンの持ち手にしたら面白いのではと進みました。

ーー“フライパン”というアイデアはどのようにして浮かんだの?
バットも振るし、フライパンも振るから近いものがあり、かつバットがフライパンの持ち手になれば持ちやすいと感じたからです。バットとしてではなくフライパンとして振る!ナイスバッティングではなくナイスクッキングです。

ーー持ち手がバットだからこその良い点は?
バットとして使用するのにかなり乾燥された状態になっているので、通常のフライパンに使用している持ち手より硬く丈夫です。かつ、肌触りも非常に良いです。
ーー逆にバットだからこその注意点はある?
素材も良いし、肌触りも良いので注意点はございませんが、フライパン使用時に火が強いと持ち手が焼ける可能性があるので気を付けてほしいです。

ーー実際の使用感を教えて。
取り付けてみてびっくりしましたが、女性も男性も非常に持ちやすくなっています。振るのも先端が膨らんでいるので非常に振りやすいです。
鉄のフライパンの良さを知ってほしかった
ーー開発でこだわった部分はどこ?
やはりバットとわかる部分を使用したかったので、見てわかるようにしました。
ーーでは、苦労した点や難しかった点は?
バットを取り付けるのに、バットの中央に直径1cmぐらいの長さ16cmの穴をあけないといけません。その穴をあけるのにまっすぐにあかなかったりで、たくさんの加工屋さんにお願いしてやっとできました。

ーー現在の反響はどう?
自社サイトのみですが16日までに30個ほど売れています。現在はSNS等で発信したのみですが、非常に反応は良いです。ミズノさんとフライパンの町工場がコラボするのにびっくりされている感じです。
ーーそんな反響に対しては、どう感じている?
少しでも鉄のフライパンの良さを知ってほしかったので、今までのお客様とは違うところに発信できるのでうれしい限りです。

なおバットの在庫の関係で数量限定商品となるが、完売した場合でも定期的にメルマガで再販のお知らせをするとのことだ。
鉄のフライパンは使えば使うほど本体に油がなじみ、使いやすくなる“育てるフライパン”と言われているサステナブルな商品なのだそう。そのため、藤田社長はSWING PANも「モノを長く使い、大切に育てる方に是非使って頂きたい」と話していた。
“ナイスクッキング”を目指して、キッチンで振る「SWING PAN」を使ってみると料理がより楽しくなるかもしれない。