5年前、2018年7月の西日本豪雨の被災地で生まれた「子ども食堂」から、助け合いのバトンをつなぐ新たな取り組みが始まった。東日本大震災を契機に福島で始まった「お互いさまチケット」を導入。誰かが買って店に置いてくれたチケットを誰でも使えるシステムだ。

困っている誰かのためにランチチケットを買う「お互いさまチケット」

2018年の西日本豪雨で甚大な被害が出た広島市安芸区の矢野地区で、地域の子供たちを支えたのが「子ども食堂」だった。

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一般社団法人マール村・太田郁恵代表理事:
公民館は避難所になり、食糧も買いに行けない状況になってしまったので、子供の居場所をつくり、食をよくしていかないと、いろいろな問題が起きてくるからということで、子ども食堂をしようということになった

あれから、7月で5年になる。

加藤雅也アナウンサー:
鷹野橋商店街です。カフェでは、子ども食堂も行っていますが、入り口に大きなポスターが貼られています。「西日本初、ペイフォワード お互いさまチケット開所式」いったいどのような取り組みなのでしょうか

西日本豪雨以降、被災地などで不定期に開かれてきた子ども食堂だったが、地元企業のサポートもあり「毎日開いている子ども食堂」として2022年、この場所にオープン。

子供たちが学校に通う昼の時間帯はカフェとして営業し、その利益はすべて子ども食堂の運営に回しているという。

その店内に8日から置かれた「たまわにの木」。その枝にぶら下がっているのは…。
太田さん:
こちらは「お互い様チケット」と言って…

東日本大震災の被災地、福島で「困ったときはお互いさま」の気持ちであふれてほしいと始まったという「お互いさまチケット」

知らない誰かのためにランチチケットを購入し、店にかけておく。それを使用した誰かがお得にランチを食べられる仕組み。

助け合いの思いを受け取った人も、別の誰かに助け合いのバトンをつなぐことで”お互いさま”の思いが循環していってほしいという願いが込められている。

「お互いさまチケット」を通して地域のつながりを保ち災害に備える

太田さん:
西日本豪雨のときに、本当にたくさんの方が支援物資を送ってくださったり、寄付をくださったりした。

太田さん:
恩返しをその時もしたいなと思ったが、くださった方々が恩返しはいいから、困っている子供たちのために使ってあげてと言ってくださった。それが子ども食堂という形でしか私たちはできていなかったが、今回、恩送りのチケットを活用することで広めていきたい

太田さんは、西日本豪雨の後に防災士の資格をとり、企業などとの連携を深めるための活動を続けている。”お互いさまチケット”を通して災害時に助け合える地域の人と人とのつながりづくりなど、防災を考えるキッカケになってほしいともいう。

太田さん:
風化というか、もうその時のことを覚えていない子供も増えていたり、大人も「まああんなこと滅多にないよね」みたいな感じでなってしまっていることも感じるので、もっと危機感を伝えていったり、そういう役目として動けたらいいなと思っている

普段から地域の人と人のつながりを作っておくことが、いざという時の助け合いに力を発揮することになるようだ。

(テレビ新広島)

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