再開発が進む札幌市で、あえてビルを建てないという場所が狸小路にはある。

その名もずばり「空き地」。

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この空間になぜ人は集まるのか、密着した。

突如出現した「空き地」

札幌の狸小路5丁目に出現した癒しの空間。平日は午後3時、土日は午後1時にオープンする。

「空き地」の写真を撮っていた男性がいた。

32歳の会社員。

知人から紹介され、この日初めて「空き地」に来たという。

実際に寝そべってみての感想を聞いてみると、

「ゆっくりできる。青空の下で太陽の光を浴びるっていうのが、セロトニンとか分泌されると思うので、いいですね。友情なり、親睦を深める場所になると思います」(男性)

オープンから30分が経ち、若者が次々にやって来た。

「専門学生です。美容師になりたいです」(専門学校生の男性)

美容系の専門学校に通う19歳の男女3人組。

「バイトとか、かけもちしていて。睡眠時間も足りないし、みたいな感じで」(専門学校生)

学校にアルバイト。

忙しい毎日のようだが、どうして「空き地」に?

「何も考えなくていい」(専門学校生の女性)

「平和」(専門学校生の女性)

「完全にチルですね」(専門学校生の男性)

2022年秋にビル解体 「空き地」に生まれ変わった

以前は場外馬券場や神社などがあったこの場所。

老朽化などのため、2022年秋にビルが解体され、2023年7月「空き地」として生まれ変わった。

「至る所で再開発が行われていて、大体仮囲いでずっと閉ざされているか、駐車場になっていることが多い。この街のため、商店街のためにはならないという思いもあって」(「空き地」オーナー 増永隆道さん)

オーナーの増永隆道さん。

この「空き地」でどんなことをしていきたいのだろうか?

「街と対話をしながら、街づくりをするとか、ビルを造るっていうことを自分の中ではコンセプトとして掲げている。いずれビルを建てることになると思うが、新しいビルができた時「テナントで入りたい」と言ってくれたらうれしい。地主としての街に対する責任みたいなものは、生まれ育った街なので感じている」(増永さん)

「空き地」では週末、映画やグルメのイベントなども開催している。

提供 増永隆道さん
提供 増永隆道さん

撮影スポットとして活用 集う若者

夕方。「空き地」を訪れる人が増えてきた。

ライトを背に、撮影会をしている2人組がいた。

「(Q:何の撮影か?)インターンシップで来ていて、それで着物を着させてくれた。着物に興味があって、それで働いてみたいなと思い選んだ」(短大生の女性)

着物の会社でインターンシップをしていた短大生。

「空き地」を撮影スポットに選んだようだ。

将来の夢。心と体の癒し。仕事の愚痴。

クラフトビールを飲む男性は。

「仕事がやっぱり大変だったりとか、立て込んでいたりすると追われているような感覚になりますよね。そういう意味では「空き地」は忘れられる、別世界のような」(倶知安町から仕事で札幌に来た男性)

高校3年生たちに進路希望を聞くと、

「(Q:進路希望は?)型枠大工の仕事。建物を造る上で、基礎となる部分をコンクリートとか流してやる仕事なので、大事な仕事だと思います。地域のシンボルとなるような建物を造りたいです」(高校3年の男性)

この「空き地」で、人は癒やされ、人とつながっていた。

秋になり寒くなってきたため、今後「空き地」ではこたつを入れる予定のようだ。

さらに、冬には雪のイベントも開催するという。

北海道文化放送
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