4人の命が犠牲になった長野県中野市で起きた猟銃発砲立てこもり事件。繰り返される悲劇に胸を痛めている人がいる。危険ドラッグ事故で大切な家族を失った父親。支援条例を制定し、被害者やその家族を支えてほしいと訴えている。
危険ドラッグ事故で息子の命を失う
NPO法人「長野犯罪被害者支援センター」の理事・川上哲義さん(66)。5月31日、塩尻警察署の警察官に向けて講演した。

川上哲義さん:
発生後、最初に関わるのが皆さん警察です。連携して行政が寄り添うことが大事。被害者及び被害者遺族が何を必要としているか、その時点で共有しないといけません
川上さんも犯罪被害者の遺族。
「発生場所」は、くしくも今回の事件と同じ中野市。

2014年5月14日、午前11時50分頃、中野市の県道で危険ドラッグを吸引した当時19歳の少年が運転する車が猛スピードで交差点に突っ込み、対向車線の車に次々と衝突。
この事故で川上さんは長男の育也さん当時25歳を亡くした。
育也さんは将来を期待されていた消防士だった。

被害者や家族に寄り添う仕組みを
川上哲義さん:
(息子に)最後に会ったのは5月の連休だったけど、元気でいつも笑って帰ってきた姿です。別れを告げた顔が最後の顔となって焼き付いてるのが、本当に悔しくて本当に悲しいことです。私の息子の事件があった中野で皆さんのお仲間、同僚の2人と女性の2人が、本当に凄惨(せいさん)な事件に巻き込まれまして、ご家族の心痛とこれからを考えると本当に心が痛むばかりで何と言っていいかわかりません。心からお悔やみ申し上げます
川上さんは県の被害者支援条例の検討委員になるなど、自身の経験をもとに今も被害者支援の活動を続けている。

川上哲義さん:
生きていくには食事が必要だけど、買い物や食事を作る意欲がまるっきりなくなってしまう。(被害者や遺族は)住宅、食事もままならなくなる。わが町には支援条例がある、だから被害者の最大限手助けをする。この1点が被害者支援条例をしていただくことの本当に大きな意味
被害者やその家族に寄り添う仕組み。さらに広がるよう訴えている。

川上哲義さん:
もし(事件が)起きてしまったときに、みんなが支えるんだよ、それを感じてもらうことが一番大事。どうしても孤立してしまうので、たぶん外出もしたくなくなるだろうし、人との話もしたくない状態に一時は陥る。(周囲と)つながりを続けることが大事
(長野放送)