2022年10月にスタートした「産後パパ育休(出生時育児休業)」。男性従業員が子どもが生まれてから8週間以内に、最大で4週間までの育休を2回に分けて取ることができるという制度だ。

2023年2月に誕生した三つ子のために「パパ育休」を取得してスゴ技を身につけたパパの様子が、インスタグラムに投稿されている。

この記事の画像(11枚)

「育休明けの日常 仕事終わりのみつご育児」とのタイトルで投稿されたのは、「三つ子パパ」(@mitsugo_kosodate)さんの動画。

2月13日に生まれた、快人(かいと)くん・彩葉(いろは)ちゃん・碧人(あおと)くんの3人と一緒にいる「三つ子パパ」さんだが…ひとりを抱っこし、ひとりは布団の上に寝かせて“ガラガラ”を振って見せ、もうひとりはバウンサーに寝かせて足で揺らすという、3人を同時にあやすスゴ技を披露!

器用に足でバウンサーを操るお父さんにご満悦?
器用に足でバウンサーを操るお父さんにご満悦?

この投稿には「3人の赤ちゃんを一度に育てるって本当にすごく大変だと思います」「子育てしてきた人ならこの状況の凄さ分かるはず」「マルチタスクこなしてる旦那さんすごい」などのコメントが寄せられ、2万件を超える「いいね」がつく注目の動画となっている(6月1日現在)。

「パパ育休」は取れるだけ取るべきです

なお三つ子パパさんは、3月14日~4月7日までの約1カ月、パパ育休を取得したそう。

その経験を踏まえて、投稿の中で「(パパ育休は)取れるだけ取るべきです。オススメは1~2週ずつ2回の取得」「私は丸1カ月取得しましたが、2週間でも十分意義があるものになると思います。ただし、最低1週間はまとめて取るべきです」と、新しくなった「パパ育休」の制度を活用することを薦めている。

インスタグラムの投稿より
インスタグラムの投稿より

厚労省のデータによると、男性の育休取得率は令和3年(2021年)度で13.97%。年々上昇傾向にあるものの、女性の取得率85.1%に比べると、まだまだ男性が育休を取りにくい現実がありそうだ。

そんな中、現在32歳で管理職の三つ子パパさんは実際に育休を取ってみてどんなことを思ったのか。経験者だからこそわかる「パパ育休」のメリットとは?

育休中と仕事に復帰した今のお話をご夫婦に聞いてみた。
まずは、お父さんの三つ子パパさんから。


――育休を取ることはいつから考えていた?取得を決断したのはいつ?

きっかけは三つ子の妊娠が判明したからで、妊娠が判明した少し後に取得を決断しました。


――育休を取ってみて気付いたことは?

あげるとキリがないですが…

・買い揃えが必要なアイテムの多さ
・授乳回数の多さ
・ママの母乳に対する悩みが思っている以上に深刻
・三つ子だと、授乳や排泄の記録をしっかりしないと分からなくなる
・想像以上に育児は楽しい
・育児は、中途半端に手伝われるくらいなら、手伝われない方が楽

一緒に育児する期間を通して、考え方を統一すればママの考えを察知して手伝うことができるようになります。

「パパ育休を取って得られたもの」として挙げられた一例
「パパ育休を取って得られたもの」として挙げられた一例

話題の「3人同時にあやすワザも」育休中に身につけた

――三つ子ちゃんたちはそれぞれどんな子?

快人:マイペースで、ミルクを飲むのも1番遅い。ミルクを飲みながら微笑みかけてくる。こだわりが強く、一番短気→哺乳瓶の角度などにこだわりあり。生まれた直後は1番小さかったが、今は1番大きい。後頭部が絶壁になってしまっている。顔はパパ似。

彩葉:豪快な性格で、ミルクを飲むのが1番速く、飲み終わったらすぐに寝る。両隣で泣いていても微動だにせず寝ている。声が1番大きくて、大声で泣くと他2人がいつもビックリする。顔はママ似。

碧人:愛想が良く、1番笑う。お話も好きなので、パパが毎日話しかけて、それに応えてくれる。ゲップを出すのがすごく上手。

あやし方については、みんな抱っこすれば泣き止む“抱っこ好き”です!

上から碧人くん、快人くん、彩葉ちゃん
上から碧人くん、快人くん、彩葉ちゃん

――3人同時にあやすテクニックは、育休中に編み出したもの?

ワザを身に付けたのは育休中ですが、NICU(新生児集中治療管理室)に子どもが入院している期間にロング面会という形で、1日を通して育児の練習をさせてくれました。このロング面会のおかげか、育休初日から特に問題無く育児に入れました。ママと試行錯誤しながらのこの期間は楽しかったです。

ごはん時も油断はできない!サッと抱っこであやすワザも
ごはん時も油断はできない!サッと抱っこであやすワザも

――育休を終えた今、生活にはどんな変化が?

平日はほぼ、ママに任せっきりになっています。なので、土日は極力私が育児をして、ママにまとまった睡眠を取ってもらっています。育休期間があったお陰で特に沐浴は阿吽の呼吸で、日常会話をしながらお互いに空気を読みながら役割分担してスムーズにこなしています。

テキパキと準備からの沐浴をするパパ、その間にママが次の準備
テキパキと準備からの沐浴をするパパ、その間にママが次の準備

――「産後パパ育休」は「2回の取得がオススメ」とのこと。これはなぜ?

・仕事への影響を軽減できる。
・1週間だけ、1回だけだと育児を自分ごとと捉える前に期間が終わってしまう。
→合計の期間を長く取ることで、育児を自分ごとと捉えられるようになります。

1回目、2回目の取得はそれぞれやることが違うともアドバイス
1回目、2回目の取得はそれぞれやることが違うともアドバイス

――まだまだ広く取られてはいない男性の育休。取るべきか悩んでいる、なかなか言い出せないという人に伝えたいことは

たとえ会社をクビになったとしても、育休を取って奥さんと子どもと、この期間をゆっくり過ごすことは人生全体を通して考えると確実に良かったと思えるし、必要な期間です。私はそれだけ、かけがえのない時間になったし自分にとってもプラスになりました。

育休を取ることで、キャリアへの悪影響を懸念されると思いますが家庭環境も良好になり、思いやりの気持ちも強くなり、むしろ、キャリアへの好影響があると思っています。

夫が育休中に取得したスキルが、妻のストレス軽減に

続いて、毎日三つ子たちの育児に奮闘している、三つ子パパさんの妻にもお話を聞いた。


――三つ子パパさんが育休を取得したことでプラスになったのはどんなこと?

育児も家事も私と同じ動きをしてくれたため、ストレスがなかったです。また、育児と家事を同時進行でできたことが時短に繋がり、睡眠時間を確保できました。溜まりがちな洗濯物もいつも丁寧に畳んでくれて気持ちが良く助かりました。


――三つ子パパさんの育休期間が終わった今、生活にはどんな変化が?

(夫の)仕事が多忙のため平日はワンオペですが、土日や私が体調不良の時には1から教えなくても育休中に取得したミルク作り、オムツ交換、家事のスキルがあるため全て1人でこなしてくれるところがとても助かっています。育休がなかったら週末だけでは到底こなせなかったと思います。また、子どもたちもパパのことを覚えていて懐いているように思います。

三つ子パパさんが育休を終え“ワンオペ”になるお母さん(左)。しかし土日は三つ子パパさんが身につけた“育児スキル”を駆使(右)
三つ子パパさんが育休を終え“ワンオペ”になるお母さん(左)。しかし土日は三つ子パパさんが身につけた“育児スキル”を駆使(右)

――男性育休の取得に悩んでいるという人に…

子どもの成長は本当に早く、特に新生児期はあっという間です。その貴重な期間を夫婦で協力して育てていくことができるのが育休の最大のメリットであり、パパとしても成長できる期間だと思います。ママだけでなくパパも育児と家事をすることで夫婦関係も良好になります。子どもと過ごせるかけがえのない時間は何にも変えられません。ぜひ勇気を出して育休申請をしてみてください。

なお、三つ子パパさんが育休取得を上司に相談すると「快諾だった」という。

しかし2年前、三つ子パパさん自身が部下から「育休を取りたい」と相談された時は、「『なんで男が育休?』と内心思っていました」とのこと。自分が育休を取ってみての今は「長期的に見ればむしろキャリアにおいてもプラスになると思います」と話している。

三つ子パパさんの3人同時にあやすスゴ技も「産後パパ育休」をとることで早めに身につけられたのだろう。こうした実際に男性育休を取ってみての声を知ることで、より「育休が取りやすい環境」が作られていくことを期待したい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。