運送業界の「2024年問題」を知っているだろうか? 2024年4月から、トラックドライバーの「労働時間に上限が設けられる」ことでドライバー不足に拍車がかかり、運び切れない荷物が出てくるのではないかと懸念されている。この問題に、山形県内の事業者はどのように対応しようとしているのか取材した。

ドライバー不足深刻化の懸念

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全国でトラック4,000台を所有し、3,500人のドライバーが働く「第一貨物」。県内にも支店を持つこの会社では、「2024年問題」を次のようにとらえている。

第一貨物・仲島 順 常務取締役:
もともとドライバー不足であったが、法律で制約を大きく受けることにより、ますますドライバーのなり手がいなくなるということから「ドライバー不足」が懸念されます。それに対しては、5年間をかけて人材を育てています

ドライバーの負担軽減のカギは「作業員」の存在

「第一貨物」は2023年、全国で新卒者150人を採用した上で、ドライバーの負担軽減に向けていま力を入れているのが、配送所などで働く「作業員」の存在だ。

第一貨物・仲島 順 常務取締役:
要はドライバーひとりで荷物を積んだり下ろしたりという作業が負荷になっていたので、運転する時間に絞り、その両端を別枠の人員を補充するという代案も考えている

第一貨物は、全国の作業員を2023年だけで30人、5年かけて100人近く増やし、400人態勢にした。ドライバーを運転に専念させることで、労働時間の短縮を図っている。

さらに同業他社と協力した「共同配送・共同運行」にも取り組むなど、ドライバー不足を見越した動きも進んでいる。

第一貨物・仲島 順 常務取締役:
今回は総労働時間を制限されるので、ドライバーひとりの賃金が同じような形態だとすれば減額になってしまう。それをどうやって補塡(ほてん)していくかが1番大きな問題。それを補うためには、お客さまのご理解を得ながら補塡していくべく、運賃料金の見直し・条件改善を荷主と交渉しているところだ

1年を切った「2024年問題」を自分ごとに

1年を切った運送業界の2024年問題をどう乗り切っていくのか? トラック事業者の努力だけでは難しいのが現実だ。

第一貨物・仲島 順 常務取締役:
今の生活様式にご不便がまだかかっていない。将来的に、2024年は14%くらい物量が運べなくなる、30年度には30数%が運べなくなります...ということが身近に感じられるようなPRを、われわれとしてはしていかなければいけない。より「自分に直結した内容である」というご理解をいただける取り組みをしていかなければならないと思っている

日常、当たり前のように利用しているサービスを維持していくためには、荷物の運搬を依頼する荷主や、私たち消費者の理解も必要になってくる。インターネットで買い物をして翌日に届くというサービスに慣れているが、それが当たり前ではなくなる可能性が出てきている。

第一貨物では、配送所の作業員を増やすことでドライバーの労働時間短縮につなげたいとしているが、人件費の問題も出てくる。サービスを受ける以上、私たちも「痛みを負担する」覚悟が求められていると言えそうだ。

(さくらんぼテレビ)

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