ユネスコが認定する世界ジオパークに、2023年、白山市の白山・手取川ジオパークが認定された。世界ジオパークとは、科学的に貴重な地形や地質を持つ地域をユネスコが認定するものでこれまでに新潟県の糸魚川や伊豆半島など9つの地域が認定されている。今回、待ちに待った世界ジオパークに認定されたが、ここに至るまでには数々の挑戦の歴史があった。
13年越しの悲願達成…白山手取川が世界ジオパークに認定

白山市がジオパークの認定に向けて動き出したのは今から13年前。

合併によって白山の頂から手取川の河口までが同じ白山市となった事から市内全域をジオパークとして位置づけ、日本ジオパークの認定を目指した。

そして…

認定の電話を受ける白山市の教育長(当時):
ああそうですか認定していただいてありがとうございます。

2011年9月、本格的に活動初めてからわずか10カ月で国内15番目の日本ジオパークに認定された。

翌年にはイメージキャラクター「ゆきママとしずくちゃん」が誕生。

市民向けのイベントを開催し、ジオパークの浸透を図ってきた。

世界ジオパーク目指すも2度の国内候補落選
そして2013年、より条件が厳しいユネスコの世界ジオパーク認定を目指し国内推薦の候補地に名乗りをあげる。

審査員:
日本海側の持っている魅力というのが、やはり知られていないと思うし、雪国の持つ魅力というのをもっと伝えていきたい。

しかしこの時、国内推薦を勝ち取ったのは熊本県の「阿蘇(あそ)」白山市は世界的な知名度が不足しているなどとして落選。

2年後に、再び国内推薦の獲得に挑戦するが、学術的な説明が足りないとして再び落選。

そして最初の挑戦から7年…
国内推薦決定の電話:
ありがとうございます。世界認定に向けて頑張ります。

地元住民に対する取り組みや、地域経済の活性化に向けた観光への取り組みなどが評価され、悲願の国内推薦を勝ち取ったのだ。

濱口真子記者:
こちらの化石壁、黒い窪みになっている所が木の化石だということです。説明員はその貴重さなどを審査員にアピールします。

2022年10月には、年間4000点の化石が発掘される白峰(しらみね)地区の桑島(くわじま)化石壁(かせきかべ)などで、ユネスコなどによる現地調査が行われた。

世界ジオパーク上級審査員 ランネス・クリスティン氏:
地域の皆さんで活動を応援していて、誇りに思っているのが伝わった。

急死した前市長の遺影も見守る中…悲願達成を待つ人々
そして…2023年5月
秋末械人アナウンサー:
現在、世界ジオパーク認定に向けて審議中、こちらの会場には100人以上の関係者が集まり、その歓喜の瞬間を待っています。

2023年5月24日。日本時間の午後5時。

フランス・パリで開催されたユネスコの執行委員会で白山手取川ジオパークを世界ジオパークとして認定するか審議が始まった。

白山市内では、決定の瞬間を見届けようと特設会場が設けられ関係者が続々と集まっていた。今年3月に急死した山田憲昭前市長の遺影もその時を待っていた。

田村敏和白山市長:
ドキドキしてます、ただワクワクもしてます当然、今ね東京オリンピック決まった時のあの思いで、東京って出てワーってやったように、白山って言って「わーっ」てやりたい。

白山手取川ジオパークは、白山の雪解け水が手取川を通って日本海に至る水の循環を学べる貴重な地域として位置づけられている。

本格的な活動が始まって13年。

過去に2度、国内推薦を逃すなど苦難を経ての正式認定に会場の期待も膨らむ。

審議が始まって約2時間半…

秋末アナ:
世界ジオパークに認定されました。白山市にとって13年越しの歓喜に湧きます!

世界ジオパークに認定されるのは国内では5年ぶり、10番目の快挙となった。

田村市長:
世界に向けて発信を続けなきゃいけないと思っておりますし、私は教育長をしておりました。子どもたちの世代からこのジオパークというものを学んで、持続可能な社会作りを今後も進めていきたい。様々な方が訪れていただけるんではないかなと思っておりますのでいわゆる観光振興、産業振興を進めたいと思っています。

2010年、白山市役所の初代ジオパーク推進室長に就任し長年尽力してきた山口隆(やまぐちたかし)さんは…
初代ジオパーク推進室長 山口隆さん:
推薦を見送られるごとに進化していった。だからこそ今があるんだと思います。これからがスタート地点。世界ジオパークにふさわしい活動を、明日からしなければならないとあらためて思っています。

実はこの世界ジオパーク、4年に1度、再審査が行われる事になっている。

これについて馳知事は…
馳知事:
認定はされましたが、未来永劫認定されるわけではなく生活の中で今までの営みを守っていくということが求められていますので県としてもぜひいろんな、応援をさせていただきたい。

世界的に、貴重な地質と地形を持つと認定されたこの地域をどのように守り、発展と結びつけていくのか。次の審査は2026年度に行われる予定だ。

(石川テレビ)